青祓のネタ庫
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サバト―――
魔女や呪術師が行う儀式のこと。
また、その儀式には生け贄、血、臓物などを要し
悪魔と通じる為の回線を開くことを目的とする。
運良く回線を開くことができれば、そこから悪魔の囁きを聞くこともできる。
悪魔崇拝者達はそれを予言とも言うが、悪魔の言うことなので信憑性は定かではない。
上級者になると、本物の悪魔を召還し代償と引き替えに使役することも可能となる。
しかし、大なり小なり儀式に犠牲が必要であること。
また、人類不変の敵である魔神と通じる行いであるため現在では教会が取り締まりを強化。
サバトを行う事は禁止されている。
だが、取り締まりを強化しても儀式を行うものが多数存在することもまた、
事実である。
「と、言うわけで今度はサバトの語源についてだけどこれは古フランス語の・・・」
「先生、ストップストップー」
「なんですか志摩君」
「奥村君の耳から煙が出ています。やめてあげて下さい」
「はぁ・・・またか」
雪男は教科書を閉じて、教壇から降りた。
目の前には、教科書を持ったまま微動だにしない兄の姿があった。
雪男は教科書をとって、軽く兄の頭を叩く。
「兄さん、わかった?」
「・・・え?ああ・・・おう」
「オーバーヒートやなぁ」
「要領と容量に問題があるね」
「お前等が俺を馬鹿にしてるのはわかった」
言って、燐は机の上に俯せに倒れ込む。
勉強は苦手だ。先ほどの雪男の説明を半分も理解できなかった。
「だいたい、なんで儀式のことなんか補習で勉強すんだ?
これどっちかというと手騎士っぽい気がするんだけど」
「あ、それ俺も思いましたわ。なんでサバトを主な題材にしてはるん先生?
悪魔薬学っぽくはない気が」
実は、先日兄を狙った輩が悪魔崇拝者の上、兄を使って実際にサバトを行おうとしたからですよ。
と、言おうとも思った。事実燐には授業の開始前にも説明しているが、
結局意味がわからなかったらしい。
だからこそ、こうして何度目かわからないくらい説明しているのだが、
進歩が見えない。雪男は深いため息をついた。
ちらりと視線を兄の隣に座る志摩に向けた。
志摩は運悪く一昨日の小テストでひっかかり補習を受けている。
志摩がいる中、本当のことを言っていいものか。
雪男はそれが気がかりだった。
「手騎士だけの管轄じゃないでしょう。
これは祓魔師に通じる常識の範囲内の勉強ですよ。
今から称号に捕らわれて勉強の範囲を区切るのはよくないですよ」
ひとまず、こう言っておけば支障はないだろう。
雪男は時計を見た。時刻は補習終了の30分前。まだ時間はある。
こうなったら補習で兄の頭に詰め込むのをやめて、帰ってからまた教えるしかないか。
そう考えて、残り時間の授業の埋め方を算段しようとした時。
「なぁ雪男これって昨日の襲撃者の奴らと関係あんの?」
「襲撃者・・・?何なんそれ物騒な話やな」
回路が繋がるのが遅すぎるよ兄さん。
何度も説明をした結果が今ここに。
しかし、よりにもよって話を終わらせようとした瞬間にこれか。
燐が口をすべらせれば、雪男は話すしかなくなる。
現に、志摩が何か言いたそうにこちらをみているからだ。
下手に話に尾ひれがついても困るので、雪男は志摩も含めて改めて説明をすることにした。
これで残りの30分の予定は決まってしまった。
一日でも早く危機感というものを覚えてもらおうと、焦ったのがいけなかったのかもしれない。
クラスメイトがいる中でするんじゃなかったなぁ、と雪男は今更ながら後悔した。
「事の発端は兄が言った通り、昨日学園内に襲撃者が現れた事が原因です。
目的はわかっていたので、泳がせて拘束することにしたんです。
ああ、今はもう大丈夫ですよ。昨日の時点でちゃんと捕まえていますから」
「俺を囮にしてな」
燐は不快そうに雪男に向けて呟いた。
それに驚いたのは志摩だ。
「それほんま?」
「だから、ごめんってば。昨日の時点ではフェレス卿に口止めされてたんだよ」
「だからってよー」
「え、何なん。先生ほんまに奥村君のこと囮にしたん?」
「同意しかねる作戦でしたけど否定はしませんよ」
「まぁ結果捕まえれたし、俺も無事だったから別にいいけどよ」
「・・・ははぁ、だから先生躍起になって奥村君に教えようとしたんやなぁ危機感薄いわ」
「でしょう」
初めて志摩と意見があった。
とにかく、自身のことに無頓着なのは頂けない。
今直しておかないと、取り返しのつかないことになってからでは遅いのだ。
雪男の心配は正にそこにあった。
「で、どんな風に襲撃されたん?」
「3人組の男だった。顔には仮面つけてたな。
魔神様がどうとか言って腹殴られるし、溺れるし散々だった。
あと確実に3人とも頭がおかしい。
気絶する前なんか儀式がどうとか話してた気がする」
「・・・先生、今日の授業と奥村君の話をかけあわせると、
つまるところ、昨日奥村君は頭のおかしいサバト集団に狙われたってことで
ファイナルアンサー?」
「正解です」
心臓食べようとしたことまでは伏せておいた。
話したら雪男も気分が悪くなるからだ。
志摩はうーんと頭をひねる。正直、内容が重い話だ。
それなのに当の本人がよくわかっていないため、楽観的。
志摩が若干ながら引くのもうなずける。
「奥村君、それはあかんわ」
「何がいけないんだよ」
「先生が補習で言うてることわかった?」
「いいやさっぱり」
そうして、志摩はまた頭をひねった。
雪男ですら悩ませる燐の理解力をどうやったら危機感にまで繋げられるか。
そうして、志摩の頭にあることが閃いた。
「よし、奥村君にもわかりやすく俺が例えたるわ」
「え、できるの志摩君?」
意外だった。この難問を、彼はどうやって解いてみせるのだろう。
雪男は半信半疑ながら興味を持った。
志摩は、さらりと言った。
「つまりな、昨日の男達が行おうとしたサバトいうんは
奥村君がメインディッシュの乱交パーティや」
教室内が静まり返る。
そして、志摩の言葉を聞いた燐の顔がどんどん青くなる。
「・・・う、嘘だ!」
「奥村君、これは事実や。
3人組の男に気絶させられて何をされそうになったのか、想像してみい!
怖いやろ!危機感が駆け抜けるやろ!」
「怖い!なんていう怖さだ!」
「そうやろ、そうやろ!そういうことや!」
と言っておもむろに燐の尻に伸びた志摩の手を雪男は止めた。
どさくさに紛れてなにをする気だ。
「いや、間違いじゃないけどもっと言い方があるだろう志摩君!
っていうかそれでわかったの兄さん!??」
「一応、サバトいうんは儀式内に『そういうこと』が含まれたやり方あるやん。
間違いではないし、手っとり早くていいやろ?」
「なんで僕が説明しなかったことまで知ってるのさ」
「俺、教科書に書いてあるエロいことから淫らなことまで。
一字一句抜けもなく、マーカー引いてます」
志摩の自信満々な言葉を聞いて、燐は震える声で言った。
「志摩、後でそれ俺に見せて」
「ええよ」
「よくわからない協定を結ばない」
ぱしっと教科書で二人の頭を叩いた。
叫ぶほど怯えたということは、兄も状況を理解したらしい。
ひとまず、危機感を覚えさせるということは成功したようだ。
自分が何時間かけてもできなかったことが、
志摩の一言で解決したことについてはあまりいい気分ではないけれど。
チャイムが鳴った。補習の時間は終わりだ。
「・・・お礼を言っとくよ志摩君」
「まぁ奥村君と俺はエロスで通じてますから」
「・・・撤回するよ」
「ははは、ええですやん。先生、さっきのお礼もろときますわ」
機嫌の悪くなった雪男から逃げるように、志摩は鞄に荷物をつめてそそくさと出ていった。
燐は、まだ顔色が悪かった。雪男は声をかける。
「だから、危ないと思ったときは、次からはちゃんと僕を呼ぶこと。わかった?」
燐からの返事はない。不審に思っていると、こぼれるような声が聞こえた。
「・・・なぁ雪男」
「何」
「いや。お前が、俺を・・・乱交パーティの男共を捕まえる為とはいえ、
おとりにするなんて・・・!いや、やっぱりなんでもない!!」
燐は雪男から逃げるように後ろに身を引いた。
それにショックを受けた雪男の手から教科書が落ちる。
落ちた教科書が床に広がった。
教科書の文章に赤いマーカーで「乱交」「サバト」「性交」とチェックがついていた。
さっき、教科書で二人の頭を叩いた。
あの時、机に置いていた教科書が、志摩のものと入れ替わったのか。
それを見た燐の顔がまた、青くなった。
これで燐の頭には、サバト=乱交とインプットされてしまった。
そして、雪男は乱交目的で燐が狙われていると知っていながら放置した、
裏切り者とでも思われているのだろう。
正直、ここまでタイミングが悪いと泣けてくる。
「待って、違うんだよ」
「お前の教科書にも、あるじゃねーか・・・確信犯かよ!」
燐は、雪男を振り払うように、教室のドアに向かって駆ける。
「待って兄さん!あいつらは兄さんの心臓を食べようとしただけであって、
決して犯ろうとしてはいないんだ!殺ろうとしてたんだよ!」
「ちくしょう、カニバリズムも込みかーー!!」
「兄さん、待つんだ!どこでそんな言葉を・・・」
兄は去ってしまった。雪男を置いて。
もうだめだ、完全にどん引きされた。
なんだこの状況。兄に襲撃者に対する危機感を持って欲しかっただけであって、
決して自分に対して危機感を持って欲しかったわけじゃないのに・・・
志摩の言葉が、余計に兄を混乱させているじゃないか。
「・・・この落とし前、どうつけてやろうか」
志摩にとって救いだったのは、雪男の怒りの矛先が志摩ではなく、
襲撃者に向かったことだった。携帯を取り出して、連絡する。
「フェレス卿。昨日の悪魔崇拝者達の尋問、まだでしたよね。
僕も行っていいですか」
「先生、なんだか怖いです」
「そうでしょう、だって僕も人間とはいえ魔神の息子ですからね」
そうして、雪男は今晩部屋に戻ってからどうやって兄への誤解を解くかを考えた。
ああ、しかし。これは最初よりかなり難しくなっている。
簡単には解けそうもない、予想外の難問だった。
※今月の内容についてネタバレなしで叫んでいます。それも見たくないかたはスルーの方向で
今月やばいです、青祓やばいです。いつも感想スルー状態の私が動揺し過ぎてつぶやくとか。
一ヶ月のお預けプレイ後には刺激が強かった。
ネタバレしないけど動揺し過ぎて…ううわわわわ!
なにこれ!この気持ちどうしたらいいの!?
皆さんも見たら絶対こんななるはず…ッ!うわああああ!
うう、パソコンの画面が熱のせいかぶっ壊れて記事が・・・orz
ちきしょー!
辛うじてssは保管できたのであげときます・・・
返信遅れててすみません。くそう。
パソコンももう5年以上使ってるし、やばいのかなぁ泣
(誰かいるな・・・)
それは闇の中で感じた気配。
燐は背後を振り返らなかった。
自分の後をつける奴らに気づいた素振りを取るのは得策ではないと考えたからだ。
時計を確認するフリをして、携帯電話を取り出した。
時刻は、夜の11時半。
いつもなら寮にいる時間帯だが、
今日は任務の終わった雪男と待ち合わせをするためにこうして出てきた。
携帯に雪男からの着信はない。
このまま連絡を取ることは不可能ではないが、
背後にいる奴らの目的がわからない以上ヘタに行動を起こしてもまずいかもしれない。
雪男をあまり巻き込みたくないという本音もあった。
燐は、携帯をしまってそのまま歩き出す。
後ろにいる奴らの足音が聞こえてくる。
1、2・・・少なくとも2人。いや、多分3人だ。
陽動で背後に一人。そして、自分の近くの茂みに一人。
数が把握できれば、なんとかなるかとも思ったがこれはあまりよくない結果だ。
2人なら振り切れるかもしれないが、3人は性質が悪い。
身に覚えの無いことで恨まれるのには慣れてるが、
こうして悪意に晒されることが愉快なわけが無い。
燐は、覚悟を決めた。
目的がわからない以上、吐かせるまでだ。
燐は一瞬立ち止まって、全力で走り出した。
雪男との待ち合わせ場所とは別方向に。
走って、走って、噴水の前にたどり着いた。
暗闇でわかりにくいが、ここは以前勝呂達にしえみとの仲をからかわれた場所だった。
噴水を背にして、背後を取られないようにする。
前には、気配が3人。正面同士なら、まだ勝機はある。
奴らはまだ、建物の壁に隠れたままだ。
ここを選んだのは、建物の少ない開けた場所だったからだ。
隠れる茂みが少ない上、隠れるなら正面の建物しかない。
襲撃の方向が限定されれば、迎え撃つことができる。
燐は、背負っていた倶利伽羅を袋から取り出した。
しゃん、という音が響いた。
青い月の光だけではない青色が燐の体に纏う。
「出てこいよ、目的はなんだ」
これで学校の不良とかだったら笑えるな、と思う。
しかし、現実は笑えなかった。
白い仮面を被り黒いコートに包まれた姿。3人とも同じ服装だ。
教科書で見た、儀式を行なう魔女やシャーマンのような異形の姿だった。
手には、銃を持っている。
まずい、飛び道具かよ。思った瞬間、黒コートは銃を放った。
足元に銃弾が飛んできた。慌てて避けて、姿勢がよろめく。
足を狙ってきている。動けないようにするつもりか。
噴水の後ろに回りこんで、銃弾を避けた。
石造りの噴水が銃弾の雨を浴びて砕ける鈍い音が響く。
接近戦ならなんとかなるが、相手の武装の方が上手だったか。
燐は先ほど雪男に連絡しなかったことを後悔した。
連絡するか。いや、今の状況で他に気をやることはまずいか。
携帯を開いたところで、画面に影が映る。
まずい、と思った時には遅かった。
噴水を正面から飛び越えて、黒コートの一人が燐の前に降り立った。
咄嗟にガードはしたものの、蹴り飛ばされて噴水の中に入ってしまった。
石造りの飾りに頭をぶつけた。痛い。水が制服に染みこむ冷たい感覚が不快だ。
めまいがして、倶利伽羅を持っていた手が離れてしまう。
男はそれを見逃さず、足で蹴って倶利伽羅を燐から遠ざけた。
黒コートは、燐の胸倉を掴んで持ち上げる。
白い仮面のせいで表情が見えないのが不気味だった。
「こん、の・・・調子に乗るんじゃねー!!」
青い炎が燐の体から湧き上がる。
黒コートに、青い炎が移って燃え上がった。
普通の人間ならば、ここで怯む。その隙に逃げれるかと思っていた。
だが、目の前の奴は怯むことなく、燃え盛るその腕で燐の体を更に拘束した。
燐に近づく度に炎は勢いを増して、目の前の黒コートを蝕む。
ついには仮面にまで、炎が宿りその半分が焼け落ちた。
目の前には、燃えながらも恍惚の表情で炎に焼かれる男の姿があった。
怯えたのは、燐の方だった。
「離せ!このッ!!・・・お前離れろ!死にてぇのかよ!」
「ああ、この炎に焼かれ死ぬことも厭いません。
我らの信仰せし魔神様の青き炎・・・やはり、魔神様の落胤は貴方でしたか」
「お前・・・悪魔か?」
「いいえ、私どもは人間です。少なくとも今は」
男は、焼け爛れた腕で燐の腹を殴った。
げほ、と息を詰まらせ、燐の意識は闇に沈んだ。
青い炎も収束していき男も、燐から手を離した。
燐はそのまま噴水の水の中に沈んでいく。
辺りには、男の肉が焦げた異臭が広がっていた。
男の背後から、同じ様相の男が二人噴水の中を覗き込んだ。
男達は異臭にも、仲間の怪我にも頓着せず意識を燐だけに向けていた。
意識がないせいで水に沈んだままの燐を仰向けにさせ、その顔を覗きこむ。
手を口元に持っていき、呼吸の確認をした。息はしている。
呼吸ができるように顔の位置を直して、そのまま燐を水に浮かべたままにする。
「こいつか?」
「そうだ、見ただろう。青い炎を纏っていた」
「では、始めよう」
男の一人が胸元から短刀を取り出した。
切っ先を燐の胸元に合わせ、祈りを捧げる。
仲間もそれに習い、柄に手を合わせていく。
三人で持った短刀の狙いは、真っ直ぐ燐の心臓を狙っていた。
『魔神様に栄光あれ』
短刀が、振り下ろされようとした時。
銃声が響いた。
三人の手は打ち抜かれ、短刀が弾かれて地面に落ちる。
応戦する暇もなく、銃声は響いた。
足、太腿、腕、連続で打ちぬかれて立つことすらできずその場に倒れこむ。
三人が倒れたのを確認して、襲撃者は現れた。
「・・・まったく、間に合ってよかった」
息を切らして、額は汗まみれ。
雪男が、どれだけ必死でこの場所を探したのかが伺えた。
雪男は銃弾を入れ替えて、三人に狙いを定めた。
動かないことは確認したけれど、安心はできない。
雪男は念のために頭を蹴って意識の有無を確認した。
三人のうちの一人は、蹴ったことで意識を失ったらしいが別にいいか、と考える。
そして、辺りを見回して噴水の水の中に浮かぶ燐を見つけた。
「兄さん!」
雪男は駆け寄って、燐の顔を覗きこんだ。
よかった。目立った外傷もなさそうだ。
青い月の光が燐を照らすせいで、まるで死人のように思えた。
手を、唇のところに持っていく。息をしていた。
「・・・よかった。本当に」
ようやく安心した雪男は携帯電話で連絡をとった。
「もしもし、フェレス卿ですか。悪魔崇拝者達のサバトは事前に止めることができました」
『お疲れ様でした、いやまさか奥村君が待ち合わせ場所にこないとは思いませんでした。
てっきり手遅れになっているかとヒヤヒヤしましたよ』
「そんなこと、僕がさせません」
『しかし、奥村君をおとりに使って正解でしたね。
悪魔崇拝者を一度に三人も捕まえることができれば芋づる式に組織の全貌が掴めることでしょう』
「・・・ですが、兄をおとりに使うなんて・・・一歩間違えれば今頃」
『結果オーライですよ。悪魔崇拝者の信仰の源は魔神だ。
その魔神の炎を使える奥村君でなければ今回の作戦は成功しませんでしたよ?
あなたは魔神の子供とはいえただの人間ですしね』
任務の後の待ち合わせは嘘だった。
本当は、悪魔崇拝者の行なうサバトの阻止が今回の任務。その囮が燐だった。
悪魔崇拝者は魔神の落胤の心臓を喰らうことで自身も青い炎を宿すことができると考え、今回の凶行に至ったようだ。
昔から、魔女や異形の力を得ようとして心臓を食らう話はよくある。
しかし、あくまでも儀式としての意味が強いため、食べたものに本当に力が宿ったりはしない。
それでも、凶行を行なうのは信仰心のためだ。
少しでも、自らの信ずる神に近づくための儀式。それがサバトだ。
「・・・ですが、次からせめて本当のことを話しませんか」
『おや?お兄さんに嘘をついて心が痛みましたかね?
まぁでも今回奥村君が助けを求めずに待ち合わせと反対方向に行ってしまったのはよくなかったですね。
奥村君の行動は読めないとはいえ、彼自身の選択が彼を危険に晒してしまった』
「つけられているのに気づいて逃げたんでしょうか」
『まぁ、予想はできますよね。彼のことですから、大方誰も巻き込みたくないとか思ってこうなったんでしょう。
そこらへんの教育は先生にお願いします』
「無茶を言う」
『それが上司と言うものです』
電話が切れた。
携帯をポケットにしまって、水に浮かんで眠る燐の顔を包んだ。
「兄さん、嘘をついてごめん。・・・起きたらちゃんと言うよ」
そして、叱ってやる。どうして自分を頼らなかったのかと。
言っても聞かないだろうけど、わかるまで何度でも言ってやる。
青い月が水面を照らし、眠る燐に光を灯す。
それは、どこか幻想的な光景だった。
雪男は惹かれるように、燐の唇に顔を寄せた。
「・・・生きてて良かった」
唇に、湿った呼気が当たる。兄が、生きている証。
その証拠を奪うように、キスをした。
青い月の光に照らされて、水に沈んで眠る悪魔にキスをした。
それは―――まるで儀式のような光景だった。
とりあえず、終わったー。
ので言えなかったことを溜めまくっているんで今更ですが、言いましょう。
*実は青祓書いて、もう一年と4ヶ月くらいはたってた。
*10万HIT(越えてるがな)ありがとうございます。
*メルフォでメールを下さった、シャムさん、foolさんありがとうございます。
すんごく励まされました。嬉しかったです。
*拍手毎日ありがとうございます。返信溜めまくって申し訳ありません。
遅くなりましたが、これから返していきます。
*拍手も4月?くらいに内容変えてから報告してなくてごめんなさい。
またいきなり変えてると思います。
ちょっと前までアニメドーピング効果か、カウンターがえらいことなってました。
今は落ち着いてるんで、まぁまたぼちぼちやってくかなーとか思ってます。
さて、次はどうしようか。
「奥村兄弟と志摩家と京都が絡んだアーサーさんとの捏造ガチンコバトル」
とかー?実際どうなるかは謎です。
ってか、私の文章ってBLっつーか普通の話多いですね。捏造してるけど。
だから、ジャンル的には王道でも茨の道っぽい気がしてならない。
オフしてみたい気もするけど、長い文章かけないんだよねぇ。
とりあえず、見に来てくださっている方にありがとうございますと言いたかった。