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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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8/21 インテ参加致します。

おひさしぶりです。8月21日のインテのエクソシストパーティに参加します~。
コピー本で、R18指定の人狼設定をお借りした雪燐モブ燐本持っていきます。
既刊は「時の果てまで」メフィ燐本と「デビルズウォッチ」雪燐本です。
当日はよろしくおねがいします!



【サンプル】
※WEB用に改行していますが実際は詰めています。

ぐしゃりという音とともに私の頭は砕かれた。
そうして私は死んだのだ。

***

この町は腐っている。生まれた時から住んでいる町だけれど、そんな感想しか沸いてこない。
理由としては簡単だ。この青士街は街を奪おうとする悪魔との戦いに明け暮れている。
悪魔は人に化け、人に混じって人を、家畜を食らっていた。
外見からすぐにわかるような悪魔はいない。夜の闇に紛れて次々と殺されていくものたち。

次は自身ではないか、隣人なのではないか。

正体のわからない悪魔に怯えて、人は疑心暗鬼になり、他者を糾弾する。
この街では、悪魔と疑われた者には裁判が行われた。
裁判と言っても、悪魔と疑われた者に潔白を訴える機会は与えられない。

連行されたが最後処刑される為に行われる裁判は大量の冤罪も生み出していた。

ただ、処刑された彼らが人間であったのか、悪魔であったのか。
処刑を執り行う騎士團は明らかにしていない。
建前として、悪魔は祓われたのだと街に公表はすれども、
現に悪魔は撲滅されることなく今も街の人間を襲い続けている。
正しく人間であった者が一体何人殺されて。
正しく悪魔であった者が何人祓われたのか。それを知るものは誰もいない。
悪魔を祓う祓魔師は、そんな終わりの見えない戦いを日々繰り広げていた。

「雪男、俺任務あるから先に行くな」
「うん気をつけてね」

そんな腐った街で生きていかなければならない人もいる。
奥村兄弟もそんな人達の一人だった。
両親は亡く、養父に育てられた二人は祓魔師として生計を立てていた。

私はいつも、仕事に出かける二人を家の中から見送っていた。
私の両親は悪魔によって殺された。
見せしめのように郊外の草むらに捨てられていた両親の姿を、私は忘れることができない。
けれどこの街にいて、大切な者を失っていない者の方が少ないだろう。
だから私も自分だけがと思わずに、ただ日々を精一杯生き抜くだけだ。

悪魔に抵抗する術を持たない私は、明日には殺されているかもしれないのだから。
お隣である奥村兄弟は、十代でありながら立派に祓魔師の仕事をこなしているようだ。
祓魔師がいるから街は守られているのだと思うけれど、
悪魔との戦いの中最も多く命を散らしているのが祓魔師だった。
正直、他人である私から見てもこの兄弟のあり方は普通ではない。
恐らくどちらかが欠けても、この二人は成り立たないだろう。

だからこそ私は、この兄弟の幸せを願っていた。
悪魔に殺されることがないように祈っていた。

「今月に入って二人目か…惨いな」

私は燐のつぶやきを聞いて体を震わせていた。
また被害者が出たのだと思うとやるせない。
もうこんな悲惨なことが起きないようにと祈ったけれど、現実は残酷だった。
燐が任務だと家を出てすぐに、街の中で悲鳴が響き渡ったのだ。

犠牲者が出た合図だ。私はすぐに悲鳴が聞こえてきた場所に向かった。
近所の住人も家から出てきたようだ。野次馬が集まり、広場に人だかりができている。
私は人々の隙間からその光景を目撃した。夥しい量の血液、散らばる肉片。
人ではありえない力で殺されたそれらは、間違いなく悪魔に殺された者達のなれの果てだ。

燐は現場の確認作業を行っていたようだ。
青い着物に被害者の血が付着していく姿は正直吐き気を催すものだったけれど、不思議と美しい光景とも思えた。
燐は被害者の体の傷を確認すると、痛ましそうな表情で彼らの体の欠片を集めていた。
手に血が付くことを厭わず、周囲の人々から奇異の目で見られようとも、
喰い散らかされた被害者を元の形に戻してやろうというような人の心が垣間見えた。

体の欠片を拾い集めたことでわかったけれど、被害者は男性だったようだ。
血で汚れた衣服を繋ぎ合わせたことで、彼が祓魔師だったことがわかった。
恐らく知り合いだったのだろう。燐の表情が苦痛に歪んでいた。
悪魔との戦いの矢面に立たされることが仕事だとはいえ、同僚の死は彼の心にどれだけの波紋をもたらしただろうか。

ざわつく野次馬をかき分けるように、応援の祓魔師達が現場に駆けつけた。
恐らく上役であろう白い羽織を羽織った金髪の男が、燐の姿を確かめた途端に盛大に顔をしかめる。

「またお前か奥村燐、どうしてお前のいる先々で祓魔師が死んでいるのだろうな」

酷い言われようだ。けれど燐は何も言わずに押し黙っている。
応援の祓魔師達も燐が整えた同僚の遺体を黙々と遺体袋に入れて片づけていた。
その間も燐は金髪の男に尋問のようなものを受けていた。

「お前は任務でここに来たのか」
「そう…です。悲鳴が聞こえてきて急いで駆けつけた」
「被害者は昨晩、夜間巡回の当番だったようだ。彼とは面識は?」
「あるけど、一回か二回会っただけだ。仲が良かったかと言われると…」
「言い方を変えよう。昨晩、お前はどこでなにをしていた」

燐が疑われている。それは私でも理解できた。この街では疑われたら最後だ。
どんな弁解をしようとも、どんなに潔白を訴えようとも、裁判で悪魔だと判定されれば殺される。
燐が殺されてしまうのではないだろうか。
私は怯えた目でことの成り行きを見守るしかなかった。
私が燐はそんなことをしないと訴えたところで、祓魔師達は意にも介さないことを知っていたからだ。
押し黙る燐に焦れたのか、金髪の男が再度口を開こうとした。けれどその言葉は突如割り込んできた声に遮られる。

「兄の潔白は僕が証言しますよ、オーギュスト卿」

遅れながら燐の弟である雪男が現場に駆けつけた。雪男は昨晩燐は自分と共にいたのだと告げた。
そして雪男が告げた金髪の男の名前に私は驚く。
彼は祓魔師の中でも最高位に位置するアーサー=オーギュスト=エンジェル。現、聖騎士だったのか。

「ふん、親族の証言ほどアテにならないものはない」
「では親族としてではなく、祓魔師として申し上げます」
「屁理屈でこの私が納得すると思うか」
「兄が人に危害を加えることができないことは、卿もよくご存じかと思いますが」

雪男はそう言うと、印を組んで呪を唱えた。途端に隣にいた燐が悲鳴を上げてその場に倒れ込む。
被害者の血の海の中に倒れ込み、顔に血が飛び散ることにも気づかないようだった。
燐の顔は真っ青で、体に激痛が走っていることが見て取れる。
雪男が呪を唱えることをやめると、燐はぱったりと糸の切れた人形のようにその場に倒れ込んでしまう。
血だまりの中に沈む燐の姿を雪男は冷めた目で見つめながら、抱き起こした。燐は完全に気絶しているようだ。

「おわかりいただけたでしょうか」

とても実の兄に対する仕打ちとは思えないが、この場で潔白を証明するには十分な効果があったといえるだろう。
アーサーは納得していないようだったが、参謀であるライトニングがアーサーを止めた。

「やめときなよアーサー、奥村燐の拘束具は有効だ。
あれがある限り、祓魔師に害をなすことはできないよ。街で内輪揉めはよくないだろ」
「…ふん、聡明な弟に感謝することだな」

アーサーは部下を連れてその場を後にした。
ライトニングが血の海に沈む燐をみて、ごめんねーと口先ばかりの謝罪を雪男に告げた。

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