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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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夏参加予定インテ本「サンプル2」


メフィストはパソコンをインターネットに繋げて、画面を何度がクリックした。
パスワード制らしく、メフィストはメールに来ていたパスワードを見ると、
そのまま打ち込んでいた。
エンターキーを押すと、画面が黒く切り替わる。
そのサイトのトップページには、オークション。と書かれていた。
シュラはサイトをまじまじと見ると、眉間に皺を寄せて考え込んだ。

「オークションサイトか?にしてはどうも厳重にしてあるな」

「ええ、トップページだけでも見えにくくはしてありますが魔法陣やルーン文字で
並の悪魔では見れないような代物になってますね。えげつない」
「画像や動画もありますけど・・・これどう見ても違法サイトですよね?」

メフィストはスクロールバーを下に下げる。
そこにはオークションサイトだけあって数々の品が乗っていた。

「ええ、こちらのサイトは闇のオークションサイト。いわゆるブラックマーケットですね。
扱っている品は主に悪魔に関するものです。呪いの椅子や持ち主を殺す刀。
魔導書なんかもありますね。怪しげなお守りから正十字騎士団に見つかれば
即座に逮捕されるレベルのものまでゴロゴロありますよ」
「いいんですかアクセスして」
「いいんですよ、私悪魔ですもん」

メフィストが慣れた手つきでキーボードを押すと、一際豪華なページが現れた。
どうやら、このオークションサイトの一押しの商品らしい。
「おもしろいのは、ここからですよ」

メフィストが動画をクリックすると、画像が荒いながら映像が始まった。
どうやら商品の紹介動画らしい。
司会者の男は仮面を被っており興奮しながらマイクに向かって話している。

「さぁ、このオークション始まって以来の商品が現れました!
海外の悪魔崇拝者が発見したこの商品は、とんでもないものです。
以前から、本物の悪魔や悪魔憑きの人間など様々な商品を扱ってまいりましたが、
なんといっても今回は見た目の美しさが他の追随を許しません。
その上、この商品は抵抗をしません。
今まで当社で悪魔を落とされた方の中には、逆に襲われて命を落とした方もいらっしゃることでしょう。
捕まろうが、死のうが。買った方の自己責任というのが当社のスタンスでございます。
しかし、しかし!この商品は抵抗をしません!
切ろうとしても、殺そうとしても、傷は治る上に、見た目は美しいまま!
まさに持ち主がどう使おうともお釣りが出るほどの人形です!どうぞご覧あれ!」

司会者が示した先には、人影があった。
青いライトで照らされており、椅子に座っているようだ。
黒髪に、青い着物を着ている。
肌は白く、陶磁器のように血が通っていない印象を受けた。
首飾りや身につけているアクセサリーを見るとかなり値の張る品のようだ。

そして、その表情がライトに照らされた。
雪男は、思わずパソコンの画面を掴んでしまった。
ぼんやりと開けている目に光はない。
しかし、青い瞳の奥にある赤い光彩は間違えようもない。
表情はぼんやりとしており意識がないことは明白だった。
雪男は燐の胸元を見て、困惑した声を出した。

「兄・・・さん・・・」
「奥村先生もそう思いますか」
「なんだよ、これ!どうなってやがるメフィスト!」

シュラが激高した。
当然だ。自分の弟子がいかがわしいオークションに商品として出品されているなんて。

しかも、燐本人に意識はまるでない。
人形のような状態だ。意識がないのであれば、自分で逃げだすことも抵抗することもできないだろう。
オークション側の人間はそれすらも価値であるように吹聴している。
抵抗できない人間を売り払う。
人身売買がブラックマーケットでは平然と行われているのだ。

「ここは以前から騎士団がマークしていた物件でしてね。
悪魔や、悪魔堕ちした人間、ハーフの悪魔までが売りに出されていたこともある
人身売買の温床のようなサイトです。
悪魔と名のつくものは、人間の目からしたら魅力的に映るのでしょう。
その容貌も人をくらますような美しい者が多いが、扱いずらい残虐さも持っている。
実際に一般人が悪魔を購入したことで死人も出ています。
それでも人は悪魔を欲してしまう。己の欲望を満たすために」

動画の盛り上がりは最高潮に達していた。
画面には映っていないが観客席があったのだろう。
売れ、だの俺はいくらでも出す。だの下劣な言葉が飛び交っている。
オークションの司会者は、一本のナイフを取り出した。
それを上に掲げて、戸惑いなく燐に振り降ろす。

「えッ!?」

雪男の動揺など盛り上がる会場にとっては些末なことだろう。
燐の頬から赤い鮮血が滴りおちる。燐はぴくりとも動かなかった。
司会者のされるがままだ。
司会者はそんな燐の顎を掴んで上を向かせると、持っていた布で頬の血をふき取った。
そこには、一筋の傷跡すら残っていない。
しかし、その頬に血以外の液体が流れ落ちた。
透明な滴だ。その先を辿ると、虚ろなまなざしがあった。
燐は、表情一つ変えずに泣いていた。
恐らく、感情を伴ってではなく、人体の反射による作用だろう。
それでも、静かに涙を流している。その姿は、
死人のようなのに感情を伴っているように錯覚させる。

司会者は、燐の顔をカメラに向けてつぶやいた。

「どのように扱おうとも、お客様の自由でございます」

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