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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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春コミお知らせ

うおおぎりぎりだああ!
春コミが迫ってまいりました!
メルフォからご連絡ありがとうございます!すみません!


友人のスペースは

や54a シオミチノタマ

こちらにてお邪魔させていただいております。
なお、あくまで友人のスペースになりますので本はお声かけ頂いた方に
お出しする形になります。どうぞ声かけてくださーい。
在庫的に、CLOVERは現在残部少です。
もしかしたらお買い物出てるかもしれませんが、お会いできたらうれしいです。

西ホールの2階という友人にも私にも未知の場所です。
遠いようなので、気が向いたらお越し頂ければと思います。



『CLOVER』 92P ¥600
『夜とホテル』 18P (コピー本です)

コピーは読み切り夜君と奥村兄弟のお話。
内容は続きからどうぞー。




候補生が祓魔師の補佐として任務に同行するのは別段珍しいことではない。
祓魔師は万年人手不足だ。
雑用やその他の用事をこなす、いわゆる下っ端という人材は誰しも欲しい。
そんなわけで、祓魔塾の生徒というのは、扱いやすい雑用係りとして使われるのが、常だった。
魔障を受けているので悪魔は見えるし、ある程度の祓魔技術もある。
それに、自分のことはそれなりにできる高校生という立場だ。
特に、長期休暇の時などは候補生は実践任務と称して、大量の雑用が割り当てられる。
今期の祓魔塾の生徒たちも、そうだった。
しえみと出雲は薬草採取。京都組はチューチとゴブリンの駆除。
人手がいるものばかりだ。
奥村燐も例に漏れず、雑用任務の最中のことだった。
引率の椿に引き連れられて、燐は巨大バリヨンの採掘をしていた。
バリヨンは、人の多い地域では取れにくいため、必然的に山奥の秘境と呼ばれる奥地に行くことになる。
祓魔師は鍵という便利な道具が使えるので、正十字学園から、人里離れた山奥まで一瞬で移動が可能だ。
今回も、寂れた山小屋に繋がり、河原で採掘をしていた時。
椿の携帯に連絡が入った。雑音混じりだが、緊急を要するもののようだった。
声にあせりが浮かぶ。

「ナニ!?わかった、すぐに向かうのダガネ!」

携帯を切ると、椿は燐に向かって叫んだ。
「奥村君、すまないが緊急の任務が入ってしまった!
扉は開けておくから、そのバリヨンを採掘したらいったん学園に戻るように!」

燐は百キロはありそうなバリヨンを抱えながら、へーい。と椿に返事を返す。
椿は、燐の返事を聞くやいなや、扉に向かってすっとんで帰っていった。
燐は、耳に入ってきた電話のやりとりを思い出す。

ああん、あなた。家に帰れなくなっちゃったの。来てー
それは大変だ子猫ちゃん!今すぐ行くからそこで待ってるんだよ!

こんな時、悪魔特有の聴覚って便利だな。と燐は思う。
まぁ監視役がいなくなって身軽ではあるので、さっさと学園に帰って夕ご飯の準備でもしようかと考える。
今ならスーパーのタイムセールに余裕で間に合う時間だ。
長期休暇中は任務と称して雑用ばかりさせられていたので、たまにはゆっくり休みたい。
今日のおかずはなにがいいだろうか。
雪男は魚派だが、燐は肉派だ。
しかし、寮にはクロもいるのでクロの意見もたまには聞いてやるべきだろうか。
さすがに、酒の肴をリクエストされたら困るが。
頭の中で献立を組立ながら燐は、バリヨンを抱えあげる。
バリヨンが「あああああ」と変な声を上げている。どうしたのだろう。
気にせず、そのまま山小屋の扉に押し込んだ。
めき、というイヤな音が響くが燐は気づかない。

「あれー、入りにくいな・・・これ。どうしよう、割るべきか?」

サイズの合わないバリヨンを小さな扉に詰め込まれて、扉は悲鳴を上げている。
しかし燐はいけるいける。と楽天的な気持ちで、もういちど力技で押し込んだ。
入った。
バリヨンは、無事学園の祓魔塾前の廊下に転がり込んだ。
同時に、山小屋が盛大な音を立てて崩れ落ちていく。

「うおおおおお!!??」

とっさにとびのいたおかげで、建物ごと潰されるのは免れる。
ほこりと木くずが舞って、小屋が只の廃屋になってしまった。
燐は、少し考えてから小屋の扉があった辺りをぺしぺしと叩いてみた。
特に、空間が繋がっているような感じはない。試しに、頭を突っ込んでみた。
特に、瓦礫でできた暗闇以外に出口のようなものはない。
燐は一呼吸おいて考える。

「・・・これは・・・まさか」

学園に続く扉が壊れてしまった。
祓魔師ならば、鍵を使って別の扉から学園に帰ることが可能だろう。
しかし、燐は候補生だ。学園に続く鍵など持っていない。
つまり、燐は人里離れた辺境の地に一人取り残されてしまった。
ということだ。しかも原因はバリヨンによる扉の破壊。言い訳のしようもない。

「やばい!ぜってぇ雪男に怒られる!!」

燐は急いで携帯電話で連絡を取った。
シュラにつながる番号をかけるが、しばらくして電子音が聞こえてきた。
おかけになった電話番号は、電波の届かない場所にあるか。
燐は即座に電話を切って、他の塾生に連絡を取る。
結果は、同じだ。誰にもつながらない。
携帯の電波を確認するが、辛うじて一本立っているくらいだった。
燐がこんな辺境の地に飛ばされて来ているのだ。
他の塾生も、似たり寄ったりなのだろう。誰にも、連絡が取れない。
最後の望みに縋って、雪男にもかけてみたが、無情にも電子音が響くだけ。
雪男もシュラも、同じく引率をしているのだろう。
燐は、諦めて電話を切った。
携帯の電池も残り少ない。当然、充電器もない。携帯が最後の命綱だ。
電池をくわないように、節電モードに切り替えて、ポケットにしまった。
空を見れば、青空から打って変わって茜色に染まりだしてきている。
遠くの方には雲も見えた。木々の隙間から闇の色が段々と出てきていた。
辺りは、もう暗くなり始めている。
このままこの河原にいてもどうにもならない。夜に川沿いにいるのは危険だ。
山の天気は変わりやすいので、山の上で降った雨が、下流で増水しないとも限らない。
ここで、野宿は無理だろう。
燐は、川に沿って走っている道路に目を向けた。
走っている車はいないが、ここにいるよりはましだろう。
燐は倶利伽羅を背負って、道路沿いに歩きだした。
車が一台でも通ってくれたら、恥をしのんで人生初めてのヒッチハイクをする心構えもある。
車で町の方までいけば連絡のしようもあるだろう。
山の中ではどうにもならない。燐は、暗くなる道をとぼとぼと歩き始めた。

「・・・腹減ったなぁ」

さっきまで夕飯のことを考えていたのだ、ないとなると余計にご飯が恋しくなる。
悪魔である以上、しばらく食べなくても平気だろうが、それでは精神的に参ってしまう。
街頭もない。山の漆黒の闇が燐の行く先をゆっくりと覆い隠していった。

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