青祓のネタ庫
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志摩さんと燐のキス有り。
苦手な方注意!!
関係的に雪男→燐←志摩
「なぁ奥村君ファーストキスっていつしたん?」
燐は勢いよく椅子から転げ落ちた。
教室に他のクラスメイトの姿はない。
勝呂と子猫丸はジュースを買いに購買に行っているらしく、京都組がトリオでいない状況はなんだか珍しかった。
こけた燐は近づいてきた志摩に手を取って起こしてもらった。
「いきなりなんだよ」
何の脈絡もない質問だ。前後の会話は「今日ひとりなのか?」「そうやでー二人は購買いっとるんよ」だけだ。
何故自分の経験話に繋がるのか。
燐はいつもはしえみの座っている席に座った。
空いたスペースに「おおきに」と志摩が座る。
いつもは勝呂や子猫丸がいるので、志摩と二人でこういうふうに隣り合って座るのは初めてかもしれない。
「前から気になっとってなあ。奥村君顔いいんやし、優しいからモテたんやないん?」
「俺はモテたことなんかないぞ」
昔はいつも一人だったから。学校だってサボってばっかりだったし、クラスメイトとの会話も
した記憶がない。いつも周囲と距離を置いていた。
当然、女の子とそんなことになったこともない。ヘタしたら会話もあんまりしたことない。
思い返せば随分と寂しい中学時代を過ごしたものだ。
「えーそうなん?勿体無い」
「俺はこれから!これからなんだよ」
そういっておかないとプライドが持たない。
悪魔として覚醒してしまったので、今後そういう展開になっても関係を躊躇するかもしれないけど。
悪魔にだって恋する権利くらある、はず。
「じゃ、ホンマにしたことないん?」
「え」
「いや、そっちの意味じゃなく、キスの方」
「ねぇよ!」
「そんなムキにならんでもええやん奥村君」
ニヤニヤしながら聞いてくる志摩にむかついた。
子猫丸に聞いたが、志摩は女の子好きを隠さず、エロ魔人とまで呼ばれていたらしい。
さぞかし中学時代は薔薇色だっただろう。うらやましい。
でも、自分はファーストキスは誰とすることになるだろうか。
できれば好きな女の子と夜景の見える綺麗な丘の上でしたいな。
奥村燐は悪魔だが、中身にはとても純粋な夢が詰まっていた。
妄想して、ふと気づく。
その時ちゃんとできるだろうかという不安。経験がないということはつまり失敗もあるわけだ。
「奥村君、考えすぎやな。キスなんか簡単やでー」
思考を呼んだのか。志摩は手をひらひらと振って笑いながら言う。
「は?」
志摩のほうを向いた。顔を手で覆わて、志摩の顔が思いっきり近くにきて。
唇が塞がった。
志摩の目は閉じていたが、燐は完全に硬直していたので目の前にある志摩の顔をまじまじと見てしまった。
気づかなかったけど、髪の色変わってるなとか。おでこの方に傷あったのか、とか。
唇が塞がれていたので若干息苦しくなった。息を吸おうと反応して唇が薄く開く。
志摩はそれを狙っていたようで、舌が入ってきた。
これには燐も驚いた。予想外だ。
「ん、むー!!」
舌を噛もうと思ったけど、「でもやっていいのか?」という変な遠慮が出てなかなか踏み切れない。
せめて口を閉じようとしたけれど、顔に添えた手で顎を固定されているのでそれもできない。
(AVとかでキスするとき顔に手を添える理由がわかった気がする・・・)
志摩の手練手管に感心する極めて冷静な思いと、混乱しすぎてどうしたらいいかわからない心。
身体なんてガッチガチに緊張している。
燐の動揺がわかったのか、志摩は薄く目を開けて燐のことを見ると、今までの攻めが嘘のように引いていった。
お互いの唇が離れる。ようやく吸えた空気がうまかった。
「こんなもんやなー」
「お前手馴れんなぁ」
唇を袖で拭った。
「まだまだやでー」
普通に会話できたのが信じれなかったが、たぶん、男でクラスメイトにファーストキスを奪われたのだという事実を
この時理解できてなかったのだと思う。
「でも、ファーストキスやったって意外やったわ。てっきり先生ともうそういうことしてるかと思っとったけど」
先生って誰?と質問する前に子猫丸達が教室に入ってきた。
「おかえりなさい二人とも。いいのありました?」
「おう、探してた牛乳あったわ」
「坊それ好きですもんね」
いつものように三人でたむろする姿を見て、やっと気づいた。
そういえば、さっきのっておかしくないか。
でも、戻ってきた普通にさっきまでの非日常の質問を出すのも憚られた。
結局、そのまま何事もなかったように休み時間が終わり、塾の授業が始まった。
燐はふと唇に指を這わせてみた。
感触は覚えてるけど、なんだかあんまり現実感はない。でも、これだけはわかった。
(ファーストキスって別になんも味なかったな)
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