青祓のネタ庫
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「今日さ、弁当作ってきたんだ。食う?」
「食べる」
燐が持ってきた弁当を開ける。中には色とりどりの具が詰まっていた。
ご飯も日の丸弁当じゃなくて、ちゃんとおにぎりにしてのりを巻いて、あまつさえ中身も入っていた。
手の込んだお弁当である。売り物にも引けをとらないだろう。僕は感動して、お弁当をがつがつと食べた。
彩りもさることながら味もすばらしい。僕は素直に口にした。
「おいしい」
「そりゃよかった」
燐は水筒を傾けて、コップに味噌汁を注いでいた。味噌のいい匂いが社の中に充満する。
食欲をそそる。僕は味噌汁を受け取って、一口飲んだ。
おいしい。家庭の味、というのだろうか。とても胸が暖まる味がした。
「燐って料理上手なんだね。驚いたよ」
「よく言われる。でもお前俺が作ったもんよく最初からガツガツ食べるな。
他のやつだったら、まずいんじゃないかって最初結構疑われるんだけど」
燐は照れくさそうにそう言った。僕は内心ちょっと動揺したけれど、それを表に出さずに答えた。
「下手だったら、料理作って渡したりしなくない?」
男が男に手料理って結構勇気がいると思うよ。と僕は言った。
世間一般ではそうだろう。燐は世間一般とは違う育ち方をしているようなので、通用しないだろうけれど。
「そういう見方があるのか」
燐はOって頭いいな。と言った。うん、燐よりはいいよ。と返しておいた。
燐はテストの点数が学年で一番下らしい。対して弟は学年で一番。双子にしても、差が有りすぎだと思う。
「燐は勉強嫌いなの?」
「わからんから嫌い」
「じゃあ、わかったら好きになるんじゃない」
僕が教えてあげようか。と言った。燐と出会った当初は、彼に深入りするつもりはなかったのだが。
会って話をするうちに、もっともっとと思ってしまった。
燐は難しそうな顔をして、鞄の中から教科書とノートを取りだした。
学校の宿題のようだった。ノートを見せてもらったが、新品同様だった。
つまり、授業もほとんど聞いてないわけか。
「わからないところがないくらい、わからないんだね」
「すげー、よくわかったな!」
燐は笑っているが、それは笑い事ではない。中学生にもなってかけ算もできないのはダメだろう。
まずは、基礎から入らないとダメだな。僕はそう考えて、眉間の皺をほぐすように指を当てた。燐が笑った。
「そういう仕草もそっくりだ」
燐は僕と燐の弟に共通点を見つけては楽しそうに笑っている。
よほど弟のことが好きなのだろう。普通中学生くらいになったら家族への嫌悪感で
喧嘩とかしてしまうものだけれど。そういうことはないのだろうか。
「燐は、弟さんのこと大好きなんだね」
「え、いやいや大好きとかそんなんじゃねーよ!」
ただ。と言葉を濁した。燐は小声になりながら、自分の家の事情を僕に教えてくれた。
燐と弟さんは、修道院にいるらしい。
そして、血のつながらない養父に育てられているということを教えてもらった。
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