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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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聖騎士の夢2


夢を見た。まだ、燐と雪男が来る前の夢。
逃げる悪魔を必死で追いかけている。
手には銃、首には十字架もあるし、殺そうと思えばこの距離からでも殺せる。
だが、なぜだかそんな気分ではなかった。

追いついてから
捕まえて
自分の手で殺さないと。

殺した後はタバコを吸おう。
酷使した体に染みていく、あの感覚がたまらない。

目の前の悪魔が倒れた、こけたのか。間抜けな奴だ。
そのまま押さえつけて、胸に銃を押し当てる。撃ち抜いた。
一発
二発
悪魔は動かなくなっていった。
虫の息だ。
やった。俺はまた殺した。
胸ポケットに入れていたタバコを取り出す。
火があったか。
思った所で、目の前に火が灯った。

青い炎だ。

そして気づいた。自分が押さえつけている悪魔。
違う、悪魔じゃない。
こどもだ。まだ小さなこども。
そのこどもから鬼火のように青い炎が灯っている。
嘘だろう。手からタバコが落ちていく。
子供の顔が見えた。

「り、ん・・・」

血まみれで、口から血を流しながら必死に何かを言っていた。
体がどんどん冷たくなっていく。
燐、燐
必死で小さな体に呼びかけた。
抱きかかえようとして気づいた。銃を握っていた。
燐はそれを見て、動かない体で必死に俺から逃げようとする。
這っていくたびに、地面に紅い血がついた。

燐、動くな。
動かないでくれ。

手当てをしようとするのに、こどもは俺に怯えて動く、胸から血が溢れていく。

死ぬな、燐、死ぬな!

滑稽だ。自分で傷つけておきながら。
燐がうつろな目でこちらをみた。

ころさないで
たすけて
とうさん

目の前が青い炎で包まれた。
燐の体が青い炎のむこうに消えていく。

とうさん

俺のことなのか
それとも

 

 

 


しつこいチャイムの音に藤本は目を覚ました。
約束していたメフィストだろうか。それにしても煩い。
ようやく寝れたというのに、と起きて時計を見ればメフィストとの約束の時間はとうに過ぎていた。
完全に寝過ごした。
癖で胸ポケットを探ってしまう。十数年続けた習慣はなかなか抜けないらしい。
タバコはやめたというのに。
代わりに、はぁ、とため息をついた。
夢を見た。最低最悪の夢だ。
ずっと悪魔を殺すことだけが生きがいだった。
戦っては殺し、戦っては殺し。
タバコの消費数も半端ではなかった。
嗜好品というよりストレス解消の為に吸っていた。

タバコをやめたのには理由があった、こどもの為だ。

チャイムはまだ鳴っている。
「今行くよ」
はずしていた眼鏡をかけて、立ち上がる。久しぶりに寝れた。
体も軽いし、頭もすっきりしている。だが気分は最悪だ。
玄関に向かう途中横目で子供部屋を見れば、雪男が起きてこちらを見ていた。
燐はまだ寝ているのだろう。あいつはいつも睡眠時間が長い。
疲れも取れたことだし、これが済めば遊んでやろう。
あの夢を見たせいで、寝ている燐を見るのが怖かったのかもしれない。
意図的に視線を玄関に向けた。
ここは現実だ。夢じゃない。
チャイムの音が煩い。
約束の時間は過ぎていたが、アイツは約束を守らない男だ。
丁度今ここについたのだろう。

サンダルを履いて、扉を開けた。
予想していた男ではなかった。
「ちわー、郵便です。判子をお願いします」
「サインでもいいか?」
「はい」
「どうも、お疲れさん」
手紙を受け取って、子供部屋に行く。
メフィストがくるのはもう少し後だろうか。
「燐、雪男起きてるか?」
「とうさん」
ベットを見ると、雪男しかいなかった。
「にいさんどこにいるの?」
ベットの柵はあがっている。なぜいない。

「・・・燐?」
藤本の顔から血の気が引いていく。手から、手紙がぽとりと落ちていった。

 

 


「燐、燐どこだ!!?」
叫びながら、次々とドアを開けた。
台所、トイレ、寝室、風呂場・・・どこにも燐の姿はない。
隠れているのかと思い、押入れや納戸も見たがダメだった。
燐は修道院から姿を消した。
記憶を辿ると、子供部屋から出る時にベットの柵を上げていかなかったように思う。
自分の失態だ。いくら眠かったからとはいえこんなミスをするとは。
だが、燐が自分で玄関から出たとは考えにくい。なぜならドアノブに背が届かないからだ。
仮に椅子などを用いて届いたとしてもに、玄関の扉は子供一人の力では重いし開けにくい。
重い扉を開けてまで出るとはあまり考えられない。
恐らく自分の姿を探して廊下に出た、ここまでは燐が起こした行動だろう。
しかし、玄関から外へはどう考えても第三者が関わっているとしか思えない。
「歴とした誘拐だぞ・・・」
修道院の者達もミサを早々に切り上げ、燐の捜索にあたっている。
燐は魔神の落胤だ。このことを知る人物は数少ないが、こんなことが騎士団にでも漏れたら
処刑だなと他人事のように藤本は思った。
いや、自分なんかのことより、燐を、あの双子を守ることの方が何十倍も大切だ。
外に出て、もし悪魔にでも見つけられてしまったら。

なくしてなるものか。
俺の息子だ。
冷静さを失っていた自分を叱咤するように藤本は両手で顔を叩いた。

夢を思い出す。
自分の手で燐を殺す夢。
現実には決してしない。

燐を誘拐する人物といっても限りがある。
一番可能性が高いのは悪魔だろうか。二番手は人間、カテゴリは変態か誘拐犯。
考えて、あえて変態の部分は考えないようにした。
誰だって自分の子供が変態の手に堕ちたと想像したくはない。
現に想像の域であるのに藤本はその犯人を対魔用のバズーカーで打ち抜くところまでいったのか
人差し指か小刻みに動いていた。何度も引き金を引いている。
悪魔の場合はどうか。
修道院には十字架がある。十字架の下は神の守りに守られ、加護を受けるのだ。
しかし修道院に来る人物は限られるし、神父たちの居住区まで来る悪魔となるとよほどのこと。
藤本は携帯電話を取り出し、ある人物に連絡を取った。
今日修道院で会う約束もしていた男だ。

「もしもし、メフィストか」

怪しげな男の声が、応えた。
 

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聖騎士の夢

幼児の世話というのは大変だ。夫婦二人が交代でやっても追いつかないほど、子供というのは
自分勝手に欲しいものを要求してくる。
やれ遊べだの、やれご飯がほしいだの。それが双子ともなればその苦労も倍になる。
片方が寝れば、片方が腹がすいたと泣く。
「つ、疲れたー・・・」
目の前の幼児用柵付きベットには燐と雪男が同じような顔をして寝ていた。
雪男が延々泣いていたのをあやして、ようやく寝かしつけた所だ。
修道院の部屋の一角にこの子供部屋は設置されているが、防音処理を施しておいて良かったと
藤本は心底思う。元来ここは悪魔薬学で使う薬品を調合する部屋だった。
薬品を調合する上で軽度の爆発が起こるため、防音部屋にしていたのだ。それが今や
幼児達の泣き声を防音するために役立っているとは、人生何が起こるかわからないものである。
この部屋のおかげで昼夜問わず泣き喚く双子の声が、近所迷惑にならずにすんでいる。
だが、数々の修羅場をくぐり抜け、祓魔師としての最高位に位置する聖騎士の藤本も流石に参ってしまっていた。
寝たい、夜鳴きを気にせず静かに寝たい。
藤本は心底疲れていた。目の前にはぐーすか寝る双子。
「いいよな、寝ちまっても・・・」
今日はメフィストとの約束があったが、この際遅刻しても寝過ごしてもいいだろう。
だって相手はメフィストだから。
藤本は双子を部屋に残して足取り覚束なく部屋を出た。
一応何かあった時のため、双子の部屋の扉は少し空けておいた。
泣いたり何かあればこれで聞こえるし、大丈夫だろう。
藤本は安心して自分の布団に入る。

だが、ここで誤算があった。

いつもなら閉めている幼児ベッドの柵を上げるのを忘れていたのだ。
ベットの上では一眠りした燐がぱっちりと目を覚ましていた。
顔を右にに向ければ寝ている雪男。顔を左に向ければいつも閉まっている柵が空いていた。
父さんはどこにいるのだろう。
お腹もすいてないし、眠くもない。ならば、動くしかないだろう。
燐は足取り覚束なく幼児ベッドから出ようとした。
いや、出ようとしたのだが、転がり落ちた。床に強かに額をぶつけたが、ここでくじける燐ではない。
すぐに起き上がり、扉に向かう。

ここでも藤本の誤算があった。

いつもなら閉まっている扉が開いている。双子はまだ背がドアノブに届かないので自分達であけることは出来ない。
今日はそこが開いていた。
「とうさん、そとにいるのかな?」
燐は扉を開けて外を見る。廊下と、扉、玄関、いつもは藤本に抱っこされて通る道。
自分の目線で見るとまた違った感動があった。
部屋を振り返ると、弟の雪男が寝ていた。うーんと言う寝言が聞こえてころりと寝返りを打っている。
「このままじゃあぶないな」
自分は平気だが、弟がベットから落ちるのはいけない。
藤本がやっていたように見よう見真似で柵を上げる。雪男はコレで大丈夫。
「よしいくか」
てくてくと幼児の歩幅で廊下を歩く。
修道院の者達は午後のミサで皆教会の方にいってしまっている。
しんとした廊下に燐の足音だけが響いた。
「・・・とうさーん」
子供部屋を出て、奥の方に向かえば藤本が寝ている部屋だったのだが、燐は玄関に向かって歩いてしまっていた。
玄関の前まできて、さてどうしようかと考えていると、いきなり扉が開いた。


チャイムの音に雪男が目を覚ました。
隣を見るといつもいる兄がいなかった。
「にいさん?」
扉を見ると、しつこく鳴るチャイムの音に気づいた藤本が玄関に行く姿が見えた。
「とうさんのところにいるのかな」
藤本が来たら聞いてみよう。雪男はそう思っていた。

だが、この時すでに燐の姿は修道院から消えていた。

リクエスト部屋

リクエストのお品


遊びに行くよ
勝呂と燐。遊びに行きました。
デバガメするよ
上の続き。勝呂と燐。以外にもいました。


兄弟は譲らない
中学時代。奥村兄弟の喧嘩と危機。
親子は走る
上の続き。中学時代。燐の危機。走る親子。
弟の駆け引き
上の続き。中学時代。弟の戦い
家族の帰る場所
上の続き。中学時代。それでも日常へ帰る家族。



告白して証明
雪男→燐←志摩。志摩と燐のお昼休み。告白してさよならの続き。
告白してはいけない
雪男→燐←志摩。上の続き。雪男の不審。
告白して告げ口
雪男→燐←志摩。上の続き。志摩、怒る。
告白してまた明日
雪男→燐←志摩。上の続き。致死節の謎。
告白してお別れ
雪男→燐←志摩。上の続き。走る志摩。
告白して対立
雪男→燐←志摩。上の続き。雪男と志摩の対立。
告白して、さよなら
雪男→燐←志摩。上の続き。三人の関係の結末。完結。



正十字学園の恋人
京都組と燐。不可思議な視線。
正十字学園の恋人2
奥村兄弟と勝呂。視線と違和感。
正十字学園の恋人3
勝呂と燐。悪魔現る。
正十字学園の恋人4
勝呂と燐と悪魔。*若干やらしい表現あり*
正十字学園の恋人5
勝呂と燐の結末。



若旦那の使い魔 前
勝呂と燐。勝呂、燐を使い魔にする。

若旦那の使い魔 後
勝呂と燐。やっぱり騒動が起きました。






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