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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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21グラム

薬の調合をしていると、グラム数に敏感になってしまうのは職業病だろうか。
台所に立って兄の料理を手伝っていると、その適当さにあきれてしまった。
カップですくって、確かめもせずに投入。
よく目分量であれだけ美味しい料理が作れるものだ、一応褒めているつもりでも
兄はそうとは取らなかったらしい。


「なんだよ、料理ってのは分量じゃねーだろ」
「でも分量守らないとできないじゃないか」
「適当でも美味けりゃいいじゃんか」
「ご飯はそれでもいいけど、今作ってるのはお菓子だから適当じゃダメ」


お菓子の場合少しの分量の違いで生地が膨らまなかったりする。
雪男は再三注意するが、自分の腕に絶対の自信を持つ燐は譲らない。

「大丈夫だ!!」
「・・・もう」

ケーキの生地のたねはもう出来上がり寸前だ。
今更作り直すわけにもいかないので、このままいくしかない。
燐は生地を指で掬って舐めた。
もう少し砂糖が必要なようだ、燐は雪男に砂糖を足すように言った。

「どれだけ入れればいいの?」
「適当」

そういわれても、正直わからない。何グラムからよくて何グラムからダメなんだよ。
料理に慣れていないわけではないが、料理のこういう「適当」な部分を雪男は好きになれない。
仕方なく雪男は砂糖を秤にかける。燐も自分のスタイルを貫くなら雪男も自分のスタイルを貫くまでだ。
秤がグラム数を指し示した。
21グラム。
「・・・21グラム、か」
軽量カップを持ち上げてみる、軽い。



「魂の重さってやつか?」



生地を混ぜ合わせる燐が言った。
雪男は自分の考えていたことが通じたことに驚く。

「すごいね、覚えてたんだ僕の授業」
「お前、俺のこと馬鹿にしすぎだろ」

人間が死んだ時の体重を量った医者がいた。
その結果、人間は死の際に、呼気に含まれる水分や汗の蒸発とは異なる何らかの重量を失うことを発見。
その重さが21グラムであるという。


「ただ、犬の死での実験ではその結果は反映されなかった。
他の患者の遺体で計測しても何グラム減ったかは明確にはわからなかった。だから今では俗説ってことになってるね」
「でも、21グラムって随分軽いな」
「軽いか重いかはわからないよ。魂の重さの平均がわからないんだもの。
これも俗説だけど、一生懸命生きている魂は重くなるんだってさ」
「ふーん」


今では18グラムが魂の重さとする説もある。
そうすると、一番最初の被験者の魂は3グラム分「頑張って生きた」という証になるんだろうか。
魂のことは祓魔の世界でも未知の領域だ。
燐は生地を混ぜ合わせながらぽつりと言った。


「悪魔にも魂の重さってあんのかな」


燐は雪男の持っていた21グラムの砂糖を生地の中に入れた。
生地のたねを混ぜ合わせる。
21グラムはあっという間に溶けて消えていった。
雪男は応える。
「悪魔にあるかはわからない。人間にあるかもわからないしね」
「うん」


「でも、兄さんの魂は重そうだ」


雪男は生地を掬って燐の前に差し出した。
燐は雪男の指についたそれを舐め取って味わう。



「21グラム分甘いな」


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