忍者ブログ

CAPCOON7

青祓のネタ庫

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

奥村君ちの家庭の事情3

まず三人が考えたのは、事実の確認をすることだった。
理事長と奥村燐の関係は本当に援助交際なのか。
茶封筒の中身は恐らく金だろうと推測できる。
でも、推測の域をでないなら確認をしなければならない。
もしかしたらメッフィーランドのチケットが入ってたかもしれないし。
正直、これから祓魔師になるまでの長い付き合いになるのだ。クラスメイトを疑ったままではチームとして組めない。
祓魔師に必要なのはチームワークだ。奥村先生はそう言っていたじゃないか。


「奥村君と理事長ってどんな関係なんですか?」


子猫丸がさらっと燐に問いかけた。
人畜無害な顔をした子猫丸だからこそできる芸当だが、いささかストレートすぎる。
志摩と勝呂は教室の隅ではらはらしながら見つめていた。


(あああ、あかんわぁ子猫さん。やっぱり子猫さんにスパイみたいな真似無理やったんや・・・)
(いや、探ったりするほうが変かもしれんぞ。ここは子猫丸に賭けよう)



子猫丸の言葉を聞いて、燐は持っていたシャーペンを床に落とした。
かしゃーんという音が教室に響く。


(坊、奥村君シャーペン落としましたよ。子猫さんの質問に衝撃でも受けたんでしょうか)
(そんなマンガみたいなことあるか?)


子猫丸は落ちたシャーペンを拾って燐に渡す。
「はい・・・ってなんだか顔赤いですよ奥村君?」
「ん?気のせいじゃねぇ?ああ、悪いな子猫丸、シャーペン落としちまって」
衝撃を受けた様子は無く、いたって普通の様子だ。
強いて言えば、少し普段とは違うといった印象を受けた。
といっても微々たる変化なので、それが何なのかはわからなかったが。

「いえ、それはいいんですけど理事長の・・・」
「理事長・・・ってああ、メフィストのことか」
(ファーストネーム呼びか・・・)

探りを入れるといちいち細かいところに気づいてしまう。三人は嫌な予感でたった鳥肌を撫でながら
燐の言葉を待った。

「なんか奥村君が理事長と会ってるとこ見たって人がいて」
「ああ、あいつに小遣いもらってたんだよ」

神木も燐に対し訝しげな視線を向けている。正直、教室でする話ではない。
「小遣いってなんでですか?」
「何でって言われてもなぁ」
燐は悩んでいた。自分がここに来るきっかけは養父である藤本が死に、メフィストに導かれたからだ。
クラスメイトに自分がサタンの落胤であることなど言えないし、そうするとメフィストとの関係もどう説明すれば
いいものか。この状況を説明するために後見人という便利な言葉があるのだが、燐の頭の中には入っていなかったし
浮かんでも来なかった。
そんなわけで、燐は今の状況をありのままに説明することにしたのだった。


「俺、あいつに養ってもらってるし」


「は?」
クラスメイト一同、声が揃った。
「この間もあいつに遊ばれたし信用ならねー奴だけど、我慢しねぇと暮らしていけないしな」
「ちょ、ちょっとあんた一体なにいって・・・どういう関係なわけ?」
きっと雪男がここにいたなら「ただの後見人ですから!ただの後見人ですから!!」と叫んでいたことだろう。
その雪男は今、授業用のプリントを作っているためここにはいない。
三人は確信した。もう聞かない方がいいだろう。

「神木さん、授業はじまるから静かにしような」
「はぁ!?なに言ってるの!?あんた達が言ったんでしょ!」
「静かにせい。人には突っ込んだらアカンこともあるで」

燐は神木、勝呂、志摩の言葉にきょとんとしていた。
「子猫丸、なんか俺まずいこと言った?」
「いいんです、奥村君、気にせんといて下さい。いいんです、いいんです・・・」
子猫丸が目頭を押さえて勝呂たちのところへ帰っていった。
遅れて教室にやってきたしえみはどんよりとした空気の教室に引いた顔をしたし、
唯一ツッコミができる雪男はやっぱり教室にやってこなかった。
次の授業が聖書学だったことが勝呂たちの敗因だったかもしれない。





「で、だ。このことって奥村先生の方は知ってると思います?」
「知らないんじゃないですかねぇ・・・」

実の兄が援助交際してたとか、そんなヘヴィなことを知っていたら弟の方は間違いなく止めていると思う。
と、いうことは兄の方は弟の方に何もいっていないし、
弟を雇っている理事長の方もなにも言っていないのだろう。


「弟の雇い主は兄とできていました・・・ってどこの昼ドラやこれ」
「まさに事実は小説より奇なり、ですね。」


三人は寮の部屋でうな垂れていた。燐は明るく笑って答えていたが、あの笑顔のウラにあんなことやこんなことが隠れていたのか。
人間って怖いな。としみじみ実感する。
実際そんなことがあれば燐はメフィストを青の焔で殺害する勢いで拒否するだろうが、勝呂達は燐の事情を知らないので
こんな過大妄想めいたことになってしまっていた。世の中知らないことのほうが怖いのである。

「結局、あの双子はお金が足りないってことですかね?」
「先生のほうは奨学金で来ているし、講師としての収入もありそうなもんやけどな」
「あ、でも先生のほうって財布の紐が堅そうやしなー」
「でも待て、そもそもあいつらってどうやって暮らしているんや?兄弟だけで暮らしているんか?」

勝呂には住職である父親がいるし、その弟子である志摩と子猫丸も住職の下でお世話になった。
他のクラスメイト達のお家事情など知る由もないし、だいたい祓魔塾に来るような人には
それなりの過去があるものだ。聞くのも憚られる。

「でも、先生には言った方がいいと思うんです」

子猫丸が意を決したように言った。勝呂と志摩も決心は同じだ。
もし、確認をして間違いだったらそれでもいい。というか弟のほうから


「兄さんはそんなことしてませんよ」


という言葉があれば万々歳だ。
このままじゃ、燐を見るたびにもやもやした気持ちになってしまう。
悪魔薬学の授業にだって集中できない。
「よし、いくか」
「奥村先生まだ教員室にいますかね?」
「おらんかったら旧男子寮にいけばええですよ」
「奥村いそうやけどな・・・」
「・・・・・・」
「いやいやいや!ゼンブ間違いかもしれないですし、どんよりせんといきましょ!」


足取りは重いが、目指すは奥村(弟)のいる所。


PR

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]