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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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青い焔に包まれて

門から、物凄い勢いで青い焔が出てきた。
サタンの焔。いや、違う。この焔は。

「避けろ!雪男!!」

シュラが叫んだ。
門から噴出する瘴気と青い焔。
その勢いに飲まれて、雪男の身体は吹き飛ばされる。
飛ばされた中でもハッキリ見えた。
門が、青い焔に焼き尽くされて消えていく様を。

(そんな、嘘だろう)

間をおいて、地面に叩きつけられる。
一瞬息が詰まった。咳き込んで、一呼吸置く。
辺りを見回せば、森の中だった。
シュラやメフィストと引き離されてしまったらしい。
空き地から随分飛ばされてしまった。
戻らないと。
起き上がろうとすると、目の前に人が立っていた。
黒い服、尖った髪型。兄を連れ去った張本人。


「いきなり大当たりー」
「アマイモン・・・!」


反射的に銃を取ろうとするが、その手を素早く踏みつけられた。
手から鈍い音がした。
「君がいると、奥村燐がこちらにこないんですよね。邪魔なんですよ」
「は、よく言うよ。邪魔なのはそっちだ。兄さんを連れ去っておいて」
手の痛みは激しいが、そんなのに構っていられない。
憎い相手を目の前にして、黙っていられるか。雪男は憎しみを宿らせた瞳で睨みつける。


「来たのは奥村燐の方ですよ」
「そうするように仕向けたのはお前らだろう」
「決めたのは奥村燐でしょう。君達が弱いから、彼はこちらに来た。違いますか?」
燐は皆を守るために虚無界に堕ちた。
その原因は自分達が弱かったからだ。
でも、それでも。


「兄さんを諦めるのに、弱さを言い訳にしてたまるか。
 僕は何年、何十年かかっても、きっと取り返してやる。諦めてたまるか!」
雪男のセリフにイラついたのか、アマイモンは雪男の手を再度踏みつけた。痛い。
激痛と言ってもいいだろう。
だが、目だけは逸らさない。


「君、やっぱり邪魔です」
「奇遇だな、僕もだよ」


アマイモンが、手を振り下ろす。
殺されるだろうか。兄に会えないまま。
そんなのは嫌だ。
ここでは死ねない。ここで死ねば、兄は本当にこちらに帰ってこなくなるかもしれない。


だが、雪男の身体を刺し貫こうとする手は止まらない。
反射的に目を瞑ってしまう。
死ぬ寸前の光景が暗闇とは、なんとも滑稽だ。
せめて、最期の瞬間までアマイモンから目を逸らさずにいたかった。
死ねば本当の暗闇が待っている。


ドスッという肉が引き裂かれる音。
身体を刺しぬく腕。
血飛沫が辺りに撒き散らされる。
頬に温かい血が飛んできた。


ここでは死ねない。死んでたまるか。











いや、違う。
なんで僕は生きているんだ?


雪男は目を開ける。

「はは、君は本当に面白いです」
「・・・うる、せぇ・・・・・・」
雪男とアマイモンの間に立ち塞がる姿。
それはずっと望んでいた、探していた姿だった。


「にい、さん」


でも、こんなのおかしい。こんなのは違う。
兄の体が、アマイモンによって貫かれている。
そうなるのは僕だったはずなのに。
アマイモンが腕を引き抜こうとする。
それを、兄は左腕で止めた。
右手一本で倶利伽羅の切っ先をアマイモンに向ける。
アマイモンを逃がさないために、腕を掴んだのか。
動いたせいか血が、先ほどとは比べ物にならないくらい兄の体から溢れ出てきた。大量の血が地面に落ち、倒れている雪男の顔に滴り落ちる。

熱かった。
焼けるようなこの熱さは、兄の命が流れ出ているからだ。

燐はぽつりと呟いた。

「てめぇは俺を怒らせた」



倶利伽羅の切っ先がアマイモンの身体に突き刺さる。
同時に、青い焔が湧き上がった。
地の底から湧き上がる、怒りの焔だ。
大切なものを殺そうとした者への怒りが、燐を駆り立てる。
アマイモンと、そして燐の身体を青い焔が包み込む。



燐は一度だけ後ろを振り返った。雪男が呆然とした表情で見ている。
孤独な世界でも生きてこれたのは、雪男の声が聞こえたからだ。
門が開いて、物質界へ戻れると思ったとき嬉しかったんだ。
また皆に会えると思ったから。
でも、アマイモンはその皆を殺そうとした。
本当なら虚無界で門が出現した時に、門を壊せばよかったんだ。
そうすれば止められたかもしれない。
アマイモンを虚無界で引き付けて、また一人で戦えばこんなことにはならなかった。
できなかった。
帰れると思ったら、できなかったんだ。
焔で門を壊したけど、同時に門をくぐってしまった。
そのせいでアマイモンがこちらにきてしまった。

これはきっと俺のエゴへの代償なんだろう。


でも、雪男は生きている。
皆も生きている。
よかった。



あとは、俺がこいつを殺せばいい。


焔の勢いが増すほど、燐の体から血が溢れ出てきた。
こんなに失血したまま戦うのは虚無界にいたころでもなかった。
それでも、この行為を止めようとは思わなかった。
悪魔の回復能力があるとはいえ、それも万能ではない。
悪魔は人間よりも死ににくいというだけで、不死というわけではないのだ。

「馬鹿ですね、このままだと君も死にますよ」
「上等だ。てめぇは俺と地獄に堕ちろ」
「はは、そういうの嫌いじゃないですよ」

青い焔に包まれて、雪男の顔も見えなくなった。
雪男、ごめん。
最期まで俺はダメな兄貴だった。



お前を、ひとりにしちまうな。



雪男の目の前で、青い焔は燃え続けた。
アマイモンと、燐の身体を包んだまま。

いつまでも燃え続けていた。

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