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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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サンプル:今日から俺は

※WEB用に改行しておりますが実際は詰めております。


異変が起きたのはそのすぐあとだった。

調印を終え、あとはお互いにこの和平の場を滞りなく終わらせたと宣言するだけの場で。
一発の銃弾が会場に潜り込んだ。
その銃弾は余程腕のいいスナイパーが放ったのだろう。
燐の頭めがけてそれは飛んできた。通常狙うならば頭ではなく体だ。
体ならば多少狙った位置から外れても腹や腕などに当てることができる。

倒れ込んで動かなくなったところで、二発目で止めを刺す。
頭を撃っても上手くいかないことが多いのは、
頭がい骨はカーブを描いているので、
弾がその軌道に沿って外れてしまうことがあるからだ。
頭を狙ったということは確実に仕留める気で来ているのだろう。
それも一発で。
一発で成功させなければならない理由がその狙撃者にはあった。

けれど、その一発は燐に当たることはなかった。
アスタロトが止めたわけではない。燐は自力でその弾を弾いた。
それは青い炎の膜であった。三賢者、
背後に控えるアスタロトをもすっぽりと覆い尽くす青い炎の檻。
彼は炎を自在に操ることで、外敵から身を守る。

その証拠に放たれた銃弾は青い炎のせいで溶けて地面に落ちていた。
燐はそれを指先で摘まんで、弾いた。まるでおもちゃを扱っているかのようだ。

「熱烈な視線だな。キスされるのかと思ったぜ」

命を狙われていたというのに軽口を叩く彼。
雪男はスコープ越しに彼を見た。一瞬彼と目があった気がした。
心臓がはねる。今までどの人にも感じたことのない衝動だ。

「俺を殺したいのなら、もっと激しいのか。
もしくは不意打ちくらいだろうな」

アスタロトが燐の安否を気遣う。燐はそれに笑って答えた。
三賢者がすぐさま謝罪をすればアスタロトは激昂した。
これでは身辺警護もままならぬ。帰らせてもらう。
全面戦争だととても人にとって恐ろしいことを言っている。
燐は全く気にしていないようで、むしろアスタロトのことを止めている。

彼はどうやら物質界に興味を持っているようで、無下に壊したりはしたくないらしい。
それは人にとっては好都合。
雪男はスコープを上から下へとずらす。
彼の姿はとても魅力的だ。
もしかしたら人を惑わすような何かを発しているのかもしれない。
彼は悪魔だから。人を惑わすのは悪魔の本能だ。
彼の姿に胸を躍らせていると、養父から通信が入った。

「雪男大丈夫か」
「僕は大丈夫だよ。どうしたの」
「いや、さっき少しだけお前の通信と繋がってたんだけど。
銃声が聞こえたから何事かと思って」
「うん、僕も聞こえた。多分僕の近くから彼を狙った弾丸が撃たれたんだと思う。
実は今、そいつを追ってる」
「おい馬鹿、無茶すんな!戻れ!」
「平気さ、無理そうなら引き上げるから」

雪男は通信を切って走る。早くこの場から離れて彼を追おう。
スコープ越しに見た彼は、その身を建物の中へと移した。
なるほど、狙撃を防ぐ為にはいい判断だ。雪男はスコープから目を離す。
ずっと覗いていたので、神経が疲れている。

「はぁ、早く終わらないかな」

和平の式典というものはどうしてこうも長いのか。
待っているこっちの身にもなってほしい。
この後、虚無界の若君を狙った狙撃は行われず、調印は無事に終了した。

ここに物質界と虚無界の和平は成立したことになる。

つまり、虚無界の若君のホームステイの始まりであった。

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