青祓のネタ庫
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「コレはいったいなんの本ですか」
クロの目がすごく真面目だった。いつものひらがなセリフではない。
漢字を使って喋っている。
「クロ…?酒でも飲みすぎたのか?」
燐は不安になってクロに話しかけた。
ここは寮の部屋だ。朝起きたら何故かクロが絶対零度の瞳で燐を見つめて、問い詰めてきた。
クロはいったいどうしたのだろう。酒の飲みすぎでアル中を超えた向こうの世界にいってしまったのだろうか。
布団の上に正座する燐、対峙するクロ。間には本。
「コレはいったいなんの本なのですか」
「コレは、本です」
燐も何故か敬語になった。
「コレはなんの本なのか聞いているのです」
「コレは…」
「コレは?」
燐は本の表紙を見て言った。
「コレはエロ本です」
「エロ本なのですね?」
「はい、エロ本です」
「では、この表紙に書かれたタイトルを答えなさい」
有無を言わせない圧力に、燐は涙声になりながら言った。
「巨乳小悪魔系美少女ヌレヌレ特集、18禁なんて目じゃないぜ!!です」
「あなたの年齢は何歳ですか」
「じゅうごさいです」
「はっきりと言ってください。何歳で、高校何年生なのですか?」
「15歳、高校一年です」
「ではなぜ表紙に18禁とかいてあるのでしょう」
「18歳以上が読む本だからです…」
うわっ、と燐は布団に顔を押し付けて泣き出した。
ペットに自分の読んでいるエロ本について断罪されるなんて。
これなら雪男に見つかった方がましだった。いや、それも嫌だけど。
「なぜ女の子がヌレヌレになっているのですか」
「俺の、趣味だからです」
「その嗜好にあう本を購入した訳ですね」
「はいそうです」
「では、なぜこの中にあなたのクラスメイトと似たアイドルのヌレヌレ写真があるのですか」
燐は思った。いっそ殺してくれ。
中を見たのか。表紙だけでなく、中まで。
やめてくれ、これ以上俺の心を壊さないでくれ。
「このアイドルはまるで杜山し…」
「やめてくれええええええええええええええ!!!!」
起き上がると、目の前には驚いた表情の雪男の姿があった。
「夢…?」
燐は大量の汗をかいて、息も絶え絶えに呟いた。
夢か、よかった。布団を剥ぐと、燐の腹の上で寝こけるクロがいた。
道理で寝苦しいわけだ。だから悪夢を見たわけか。
「どうしたの兄さん?」
「いや、夢見が悪かっただけだ」
ここが現実でよかった。本当によかった。
燐は安堵の息をはいた。
「ところで兄さん一つ聞きたいことがあるんだけど」
雪男は手に持っていた雑誌をゆっくりと燐に見せた。
ああ、嘘だろう、そんな。
目の前には燐がベットの下に隠していた本が。
表紙にはヌレヌレの女の子の姿が。
18禁の紅い文字が。
悪夢は始まったばかりだ。
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