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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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クレイジーアップルの宴2

青い髪になった後、健康には障りなかったが、実害はおおいにあった。
まず、髪を洗っても何しても燐の髪は元には戻らなかった。
一晩寝ればどうにかなるかと考えていたが、予想以上にしつこく魔障は燐の髪に憑いている。
かれこれ一週間も経過してしまった。
事情を知らなかった椿先生などは燐の姿を見つけた途端「奥村君グレたのカネ!?」と問い詰めにきたほどだ。
しかも、魔障で髪が青くなるといった事象は前例がないらしく、解決方法が未だ見つかっていない。

「めんどくさい」
食堂で弁当を広げていたが、周囲の視線が痛い。ここは日本だ。
海外の留学生もいないことはないが、青い髪をもった人物は燐しかいない。
黒髪の中に一人だけ青髪が混じっていれば、目立つのは当然だ。
さっきは見知らぬ女子生徒からハロー?と英語で話しかけられた。

「俺は日本人だっつーの」

厳密には人ではないが、日本国籍はあるので日本人だ。
視線があまりにわずらわしかったので、早々に教室に退散することにした。
塾のクラスメイト達はもう見慣れているため、変につっこんでもこない。
全く面倒なことになったものだとため息をついた。


「人間の印象って髪の色一つで変わるもんですねえ」
「うっせー、黙ってろ」
塾に行くために、人気のない扉を探していたところでメフィストに出会った。
いつもの人間の姿ではなく、犬に変化している。
いきなり足元から声が聞こえたときは悪魔かと警戒したが、
どうやら、日に何度か犬の姿で学園内を散策しているらしい。

「暇人め」
「パトロールしてるんですよ」

しゃがんでメフィストに視線を合わせる。はたから見れば犬とじゃれあう姿にしか見えないが、
燐の表情は不機嫌だ。髪をからかわれたのが不快だった。

「あなたが遭遇したのは確かクレイジーアップルでしたよね」
「おう、確かそんな名前だったぞ」
「おかしいですねぇクレイジーアップルの魔障は『覚めない眠り』だったはずなんですが」
「起きてるぞ」
「あなた、悪魔ですしね。きっと普通とは違うんですよ」
「なぁ、この髪ってどうにかなんねぇのかな」

燐は髪を掴んで引っ張った。もういい加減元に戻りたい。

「それは私の管轄ではありませんよ、魔障の治療は医工騎士の仕事でしょう」

優秀な医工騎士である弟を持つのだ、弟に相談すればいいだろう。
メフィストはそう言ったが、表情から燐は乗り気ではなさそうだ。
「だってよー、なんか最近妙によそよそしいんだよなあいつ」
「また何かしたんですか奥村君」
「別にしてねぇよ、でも俺を見る目がなんか…他人みたいで。
しかも、昨日は夜中に無理矢理たたき起こされて変な薬飲まされたりとか」
「なるほどねえ」
メフィストはなにかに勘付いた様子だった。
「おい、なんか知ってるなら教えろ」
「自分で気づいた方がいいですよ」
「わかんねぇから聞いてんだろ」

「強いて言うならあなた達が兄弟で双子だから、ですかね」

メフィストは尻尾を振りながら、中庭の方に歩いていった。
そこで思い出したかのようにUターンしてきて、どこから出したのかカメラのシャッターをきった。

「忘れてました。奥村君のこの姿をからかうついでに青髪姿を写真に収める手筈でして…」
「てめぇぶっころすぞ!!」

けり倒してやろうとしたが、メフィストは燐の足を華麗にかわすとさっさと消えていった。
それにしても、犬が二本足でたって写真を撮るとか、一般人からしたらホラー以外の何物でもない。
周囲を見渡して、人気がないことを確認した。おそらく大丈夫だろう。人目にはついていないはずだ。

そうして、本来の目的であった塾への入り口を開くため、鍵を鍵穴に差し込んだ。

強いて言うならあなた達が兄弟で双子だから、ですかね

メフィストの言葉が耳に残る。
だが、意味はわからなかった。

「まったく、クレイジーだかアップルだかしらねえが迷惑な悪魔だな」

燐の狂ってしまった日常を表すには全く相応しい名前だった。


 

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