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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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聖騎士の夢

幼児の世話というのは大変だ。夫婦二人が交代でやっても追いつかないほど、子供というのは
自分勝手に欲しいものを要求してくる。
やれ遊べだの、やれご飯がほしいだの。それが双子ともなればその苦労も倍になる。
片方が寝れば、片方が腹がすいたと泣く。
「つ、疲れたー・・・」
目の前の幼児用柵付きベットには燐と雪男が同じような顔をして寝ていた。
雪男が延々泣いていたのをあやして、ようやく寝かしつけた所だ。
修道院の部屋の一角にこの子供部屋は設置されているが、防音処理を施しておいて良かったと
藤本は心底思う。元来ここは悪魔薬学で使う薬品を調合する部屋だった。
薬品を調合する上で軽度の爆発が起こるため、防音部屋にしていたのだ。それが今や
幼児達の泣き声を防音するために役立っているとは、人生何が起こるかわからないものである。
この部屋のおかげで昼夜問わず泣き喚く双子の声が、近所迷惑にならずにすんでいる。
だが、数々の修羅場をくぐり抜け、祓魔師としての最高位に位置する聖騎士の藤本も流石に参ってしまっていた。
寝たい、夜鳴きを気にせず静かに寝たい。
藤本は心底疲れていた。目の前にはぐーすか寝る双子。
「いいよな、寝ちまっても・・・」
今日はメフィストとの約束があったが、この際遅刻しても寝過ごしてもいいだろう。
だって相手はメフィストだから。
藤本は双子を部屋に残して足取り覚束なく部屋を出た。
一応何かあった時のため、双子の部屋の扉は少し空けておいた。
泣いたり何かあればこれで聞こえるし、大丈夫だろう。
藤本は安心して自分の布団に入る。

だが、ここで誤算があった。

いつもなら閉めている幼児ベッドの柵を上げるのを忘れていたのだ。
ベットの上では一眠りした燐がぱっちりと目を覚ましていた。
顔を右にに向ければ寝ている雪男。顔を左に向ければいつも閉まっている柵が空いていた。
父さんはどこにいるのだろう。
お腹もすいてないし、眠くもない。ならば、動くしかないだろう。
燐は足取り覚束なく幼児ベッドから出ようとした。
いや、出ようとしたのだが、転がり落ちた。床に強かに額をぶつけたが、ここでくじける燐ではない。
すぐに起き上がり、扉に向かう。

ここでも藤本の誤算があった。

いつもなら閉まっている扉が開いている。双子はまだ背がドアノブに届かないので自分達であけることは出来ない。
今日はそこが開いていた。
「とうさん、そとにいるのかな?」
燐は扉を開けて外を見る。廊下と、扉、玄関、いつもは藤本に抱っこされて通る道。
自分の目線で見るとまた違った感動があった。
部屋を振り返ると、弟の雪男が寝ていた。うーんと言う寝言が聞こえてころりと寝返りを打っている。
「このままじゃあぶないな」
自分は平気だが、弟がベットから落ちるのはいけない。
藤本がやっていたように見よう見真似で柵を上げる。雪男はコレで大丈夫。
「よしいくか」
てくてくと幼児の歩幅で廊下を歩く。
修道院の者達は午後のミサで皆教会の方にいってしまっている。
しんとした廊下に燐の足音だけが響いた。
「・・・とうさーん」
子供部屋を出て、奥の方に向かえば藤本が寝ている部屋だったのだが、燐は玄関に向かって歩いてしまっていた。
玄関の前まできて、さてどうしようかと考えていると、いきなり扉が開いた。


チャイムの音に雪男が目を覚ました。
隣を見るといつもいる兄がいなかった。
「にいさん?」
扉を見ると、しつこく鳴るチャイムの音に気づいた藤本が玄関に行く姿が見えた。
「とうさんのところにいるのかな」
藤本が来たら聞いてみよう。雪男はそう思っていた。

だが、この時すでに燐の姿は修道院から消えていた。

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