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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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瞬間を捕まえて

たまに、携帯電話で写真を撮る。
それは朝焼けの空だったり、道端に咲いている雑草だったり、様々だ。
俺はたまに、写真を撮る。
それは気になったものを留めておくためのメモのようなものだ。



「それなんですか志摩さん?」
「ん?」

塾での休み時間。
子猫丸が志摩の携帯の待ち受け画面を見て、言った。
画面には人が写っている。
志摩の場合好きなアイドルの写真や、エロ雑誌の写メを待ち受けにすることが多い。
今回は、そのどれとも様子が違うようだ。

「これ、誰ですか?見たこと無い人ですけど」
「その写真、奥村君やで」
「え」

子猫丸は志摩から携帯を受け取り、じっくり見た。
確かにクラスメイトの奥村燐だ。
窓の外を見ている時の横顔をばっちり撮られている。
でも、写真で見る彼は、普段の姿からは想像もできない。

「なんていうか、奥村君じゃないみたいに見えますね」
「そうやろ、子猫さんもそう思うやろ」

志摩がたまに写真を撮ることを子猫丸は知っていた。
それは道端の草だったり、ビルの隙間の風景だったり、
気になったものを気の向くままに撮っているという印象がある。
今回の写真は若干趣向が違うように思えた。

「なんか、奥村君ってたまに『ああ、違うな』って思うことがあるんですよ。これはその時の写真」
「それわかります、目を惹くっていうんですかね。上手い事いえないですけど」

浮世離れしている、というのだろうか。
クラスメイトとして付き合っているし、普段はそんなこと全然感じない。
それなのに、ふとした瞬間。まるで人ではないような感覚を感じる時がある。

「雰囲気いうんかな。しゃべっとったらそんなことないのに。
 黙って外を見てるときとか、人間じゃないみたいや」
「人間じゃないみたいなんて失礼ですよ志摩さん」
「でも、違うなって思いません?」
「まぁ人が大勢いても、なんか奥村君ってみつけやすいですよねぇ」
「そうでしょ。不思議な子やなー奥村君。弟の先生はそんな雰囲気ないんやけど」

「おい、なんの話しとんや」

勉強していた勝呂が二人のほうを見る。
志摩は待ちうけ画面を勝呂に見せた。
「これ、だれやと思います?」
「・・・?誰やそれ」
「奥村君です」
「なんやアイツ全然違うな」
「でしょう、坊はどんな風に感じます?」

志摩は「人間ではない」と思った。
子猫丸は「目を惹く」と思った。

「青いな」

「は?どういうことです」
志摩が聞き返す。
「どういうもなんも、その写真の奥村見てたら思っただけや」
青い。どういうことを意味しているのかわからないけど。
「青い・・・か。確かにそうかもしれませんね」

奥村燐を表す色があるとすればそれは青色だ。
それだけは揺ぎ無い。
青い夜といい、退魔の世界には青色にあまりいい印象はないのだが。
不思議と奥村燐の見せる青色に不快感は感じない。

ふとした瞬間に見せる顔。
きっと自分では気づいていないだろうが、他人が感じる差異。
それはこの青色が原因なのかもしれない。

「でも、お前が人の写真撮るなんて珍しいな志摩。そない奥村のこと気になったんか」

気になった。

勝呂の言葉を聞いて、納得した。
志摩が写真を撮るのは、気になったものを留めておくためのメモのようなものだ。
志摩は携帯を閉じた。
この奥村燐を他の人に見せるのが、なんだかもったいなく思えて。


(俺、この瞬間の奥村君のこと捕まえときたかったんかもしれんなぁ)


それはクラスメイトに向けるには重い、独占欲だったのかもしれない。

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