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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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無理矢理、ダメ。絶対


なお、警察は教育委員会と連携しながら調査を進めております。
未明に通報があり発覚しましたが、
この部屋に住んでいる男子高校生は数日前から中年の男に言い寄られていたという情報が
同居している家族の証言から得られており、その男は男子高校生に性的な―――


雪男はテレビを消した。
唯一音を発していたものがなくなれば部屋の中はしんと静まりかえる。
テーブルの上には用意された豪華なごちそう。
けれど雪男の前に座る人はいない。

雪男は一人でこの部屋にいる。
クリスマスには任務が入っていた。
巷では行事に浮かれる人たちと、その輪に混ざれずに負の感情を蓄積される人の二種類に別れる。
毎年のことだが、この負の感情を持つものたちの暴走が祓魔師たちを悩ませていた。
なにしろ普段ならば全く問題なく過ごしている、いわば普通の人たちが悪魔に取り憑かれてしまうのだ。
数も尋常ではない。日本支部は総出で祓魔に励んで、いつの間にかクリスマスは終わっている。
それが常だった。それは兄も理解しているだろう。
けれど、これは雪男の落ち度だった。
辛く苦しいクリスマスが終わったことで浮かれていたのもある。

「兄さん、クリスマスは無理だったけど
せっかくだから誕生日は二人でゆっくりすごしたいよね」

クリスマスは燐を含む塾生も任務に追われてまともな休みが取れなかった。
これから年末に入ることもあり、ゆっくりと過ごせる休みは残り少ない。
慌ただしい日常の中、せめて誕生日くらい家族で過ごしたかった。
そんな雪男の望みを燐は了承してくれた。はりきって料理も腕によりをかけて作ると約束もしてくれた。

「仕事忙しいかもしれねぇけど、早く帰って来いよ」
「うん、頑張るよ」

が、雪男はその約束を破ってしまった。
クリスマスが終わった二十六日。
塾生達を返した後でまさかクリスマスの亡霊ともいうべき第二段の怨霊が現れた。

それは、正月を孤独に過ごす人たちの怨念でできた
年明けの孤独という質の悪いものであった。

クリスマスを一人で過ごすものは、別に珍しくはないだろう。
クリスマスは祝日でも何でもないので仕事をしていたら終わっていたという人は多い。
なによりクリスマスは日本では商業的に利用されているため、人手が足りない。
仕事をしていれば孤独は紛れる。
けれど、正月はそうではない。
正月は日本伝統の行事の為、店は休みになるし当然ながら一部サービス業を除き仕事は休みになる。
長期の休みになり、仕事という繋がりも絶たれた者に待つ末路。
帰省する先もなく。一緒に過ごす家族もいない。

寂しい。寂しい。

パソコンを開けばそこに人がいるかのように錯覚をするが、
所詮目の前に広がるのは冷たい画面だ。

隣に暖かい人の温もりがあるわけではない。

普段は気づかない、ただ一人きりの孤独。
そういった負の感情の連鎖が人々を狂わせ悪魔は調子に乗る。それが師走の風物詩であった。
その師走に現れる悪魔が、あろうことか二十六日に現れた。雪男と燐の誕生日の前日である。

雪男は頑張った。頑張って頑張って戦った。

早く帰るために銃弾は惜しみなく使ったし、少しの容赦もせずに悪魔を次から次に退治していった。
あまりにも容赦がなさすぎて同僚が引くくらい、その当時の雪男は迫力がすさまじかった。
ただ、それがいけなかったのかもしれない。
雪男は燐と双子の兄弟である。
燐だけでなく雪男も一つのことに集中するとそこに捕らわれてしまうという節がある。


つまり、雪男は燐に任務が入ったことも。
帰る時間が遅くなることも。
それが伸びに伸びて二十八日になることも一言も連絡をしなかったのである。


気づいたのは、玄関の扉を開く前だった。

雪男は冷や汗をかいた。
携帯を最後に開いたのはいつだっただろうか。少なくとも丸一日以上は放置している。
ここまでくれば、携帯を確認するより前に土下座をした方が早いだろう。
雪男は覚悟を決めて扉を開けた。

響くのは兄の怒号だと思っていた。

しかしそれはなく、部屋は静かなものだった。
おそるおそる進んでいくと、リビングのテーブルの上には料理がおかれていた。
きれいに一人分だけ食べられており、雪男のものだろうそれには一口も手がつけられていない。
それはそうだろう。その日雪男は帰らなかったのだから。
だから、いつ燐がこの部屋を出て帰ってきていないのか。
それすらも雪男は知らないのだ。

「・・・兄さん、電話にも出ない」

やらかしてしまった。
雪男は自分の行動をそれはそれは後悔していた。
守れない約束ならするなと言われてもしょうがないし、
ここで兄が誰かと遊んで帰ってきても文句を言う資格は自分にはない。

いや、遊んで帰ってきたならまだましだ。
一人きりにさせてしまったなら罪悪感で押しつぶされてしまう。
雪男は慌てて燐の連絡先を知っている人物に片っ端から連絡をかける。
塾生達、違う。修道院の人たち、違う。
ならば学校の友達だろうか。
密かに収集しておいた燐と関わりのある人たちのネットワークを虱潰しにあたった。
わかったことは燐はその誰とも会っていないらしい。

雪男は通話を切った。
脳裏には最悪の状況が思い浮かぶ。


買い物に出かけた兄。
その兄に気づいた悪魔が兄のことを背後から殴り倒す。
そのまま見知らぬ土地に連れていかれ、
あまつさえそこが虚無界の門を開いたと噂のイルミナティに繋がっていて。
そこで兄が抵抗するも空しく虚無界に浚われていたりなんかした日には。


雪男は連絡の取れない兄のことをそれはもう胃に穴が開くほどに心配をしていた。
こんなに長いこと連絡も取れないまま離れていたことがない。
監視役失格だ。
雪男はせめてもと思い、メールだけは送っておいた。


どこにいるの。
ごめんね、約束破っちゃって。
僕が悪かったよ兄さん。
お願いだから返事をください。


雪男は普段滅多に燐に謝ることはない。
けれどそれはここぞと言うときに謝罪をすれば
兄は普段と違う自分の真摯な姿を見て白旗をあげるに違いないという打算もあった。

雪男は小さな頃から大人に囲まれて育った子供だ。
上の者に対する処世術は誰よりも長けていた。
それを兄に対して遺憾なく発揮すれば、弟に甘い燐はすぐにでも許してくれるだろう。

そこには燐に対しての無意識の甘えがあるのだが、雪男はそれには気づいていなかった。
お互いに気づかずうまくいっているなら、それに越したことはないのだ。

雪男が日付を越えてもリビングで待っていると、
ようやく玄関から待ち人が帰宅する音が聞こえてくる。
雪男は安堵し、思わず遅いじゃないかと声をかけそうになる。
いや、悪いのは自分だ。
雪男はリビングに姿を現した兄に、一番に謝罪した。


「兄さん。ごめん!一言連絡を入れるべきだったのに、こんなことになって!!」


それはもう自分に非がありますという全面降伏であった。
雪男は燐の出方を伺った。
さて、怒られるか怒鳴られるかはたまた殴られるのか。
数分後の自分はどんな目にあっているだろう。
どきどきと緊張しながら待っていると、
燐はああ、うん。というなんとも素っ気ない返事を雪男に返す。

これは、なんというか。予想外だ。

怒るでも、殴るでもない。ほぼ無視に近い返しだ。
兄のテンションが異常に低い。
なにこれ、聞いてない。これは相当に怒っているぞ。
それもかつてないくらいに。
雪男は自分のしでかした事のでかさに怯えた。
ここで溝を埋めておかなければ、口を聞いてもらえなくなってしまう。
せっかくの年に一度の誕生日。
過ぎてしまったけれど、口を聞かないまま終わらせたくなんてなかった。

「兄さん、どこに行っていたの」

雪男は恐る恐る聞いた。
まずは話題を作らなければ、フォローもできない。
燐は不機嫌そうな表情で雪男に告げる。

「メフィストのところ」
「そ、そう・・・一人じゃなくてよかった。ゲームでもしてきたの?」

いや、僕が悪いんだけど。一人じゃなくてよかったとかどういう台詞だ。
なにしろ自分が全面的に悪いとわかっている。
言葉がぎこちなさすぎて自分で自分が情けない。
燐は次に雪男の度肝を抜く言葉を言った。

「寝てきた」

寝てきたの。そう。泊まってきたんだね。
ベッドで、うん。フェレス卿のベッドで、え。

一緒に寝たの。

いや寝ていたって睡眠だけなのかそれとも性的な行為も含めてのことなのか。
雪男の思考はフリーズした。
固まる雪男を見て、燐はざまあみろと心の中で舌を出した。


***


「雪男が帰って来ない!お前が任務を振るからだろ!」

燐は青い炎でメフィストの執務室を爆破した。
メフィストは事前に結界を張っていた為、青い炎で部屋が燃えることはない。
燐もそれをわかっているので全力で部屋を燃やす。
いわば悪魔同士の戯れと燐のストレス発散である。
メフィストはため息をついて、荒ぶる燐を諫めた。

「静まりたまえ、魔神の跡取りともあろうものが何故そのように荒ぶるのか」
「タタリ神と一緒にするな!」
「おや、君もいける口ですね・・・ってそうですか。
奥村先生が帰って来ないから一人寂しくテレビ見てたんですね。誕生日なのにね」
「・・・そうだよ」
「彼が仕事だということは理解しているでしょう。私と仕事どっちが大事なのとかまで言いますか?」
「そんなこと言わねぇ。けど、帰ってくるって言ってたのに。連絡もないし」
「それだけ忙しいんでしょう。私よりも、あなたの方がよくわかっているのでは?」
「わかってる。けどさ」

燐は雪男のことをよく理解しているつもりだ。
だから連絡がないことも、仕事が忙しいからだとわかっているし、
それをどうこう言いたくはない。
けれど胸の奥に潜むむかつきが収まるかと言えば否だ。

「なるほど、奥村先生に思い知らせてやりたいというところですか。
ところでケーキ食べますか奥村君」
「食べる」
「紅茶もどうぞ。誕生日おめでとうございます。なら、いい考えがありますよ」
「ありがとな。クリームがうまい。何だよそれ」

メフィストはにやりと笑う。
とても、悪魔らしい笑顔だった。

「簡単です、二人の誕生日の夜に私と寝たと嘘をつけばいいんです」
「言ってどうなるんだよ、怒るじゃん」
「怒らせればいいんですよ、思い知らせるとはそういうことでしょう」
「けどさぁ」

「後に禍根を残さないようにするなら、嘘でしたと言ってベッドになだれ込めばいいでしょう。
もしかして別の男に寝取られているのではないかという嫉妬心から、
二人の夜が燃え上がること間違いなし。
更に言えば普段と違って燐君から足を開けば、誤解は更に増すでしょう」

「おい。見てきたかのように言うなよ。しかもそれ誤解を残すって最悪じゃんか」
「私を引き合いに出すんですから、それくらいいいじゃないですか。
まぁ後は貴方に任せますけどね。フルーツ食べますか燐くん」
「食べる・・・うーん、そうだなぁ。
雪男が帰ってきたら考える。ゲームしていい?」
「どうぞ、二人でオールナイトしますかねぇ」
「ゲームとマンガでな」


そんなわけで燐は今とてつもなく眠かった。
メフィストと一晩を過ごしたのは事実だが、寝てはいない。軽い嘘くらいいいだろう。
開口一番に謝ってくれたのはよかったし、寝て起きたら全部許すつもりだった。
とにかく燐は眠かった。もう、今すぐにでも寝たかった。

固まる雪男をおいて、燐は食事はテーブルにあるから
適当に食ってくれと言ってベッドに行こうとした。
雪男は燐の手を掴んでそれを止める。


「寝たってどんな風に?教えて」


雪男は淡々としていた。意外なことに。
そして昨晩はどんな行為をしたのかを聞いてくる。
ひどいセクハラだな。
いや、嘘をついたのは燐の方だからここは答えるべきなのだろうか。
もちろんメフィストとは寝ていないので、うまく嘘をつかなければならない。

「オールナイトセックスだった」
「それじゃあわからないよ、どこに。何をされたの兄さん」

雪男が燐を壁際に押しつける。
密着する二人の体。雪男の目は真剣だ。
燐は眠すぎて抵抗する気も起きなかった。

その上、昨晩メフィストの部屋にあった薄い本の内容が燐の頭に浮かんでは消える。
あの薄い本は大変にエロい内容であった。
その本の内容を燐はそのまま口にする。
口からでる言葉はすべてでまかせだ。

「メフィストに、部屋に連れ込まれて。
無理矢理喉の奥までくわえ込まされた。口は開かされたまま、で。飲まされた・・・」
「そう、それから?」

雪男が冷たい目で燐を見ている。指が燐の唇に触れてくる。
この口でメフィストを受け入れ、慰めたのだと確かめているのだろう。

「服を全部脱がされて、足。開かされた」
「続けて」
「濡れてないからって、舐められて。
腰がおかしくなるんじゃないかってくらい。いかさ・・・れた。」

想像して腰が重くなる。
熱が顔と、それから下半身に集まるのがわかった。
雪男の瞳にも、燐と同じものを感じる。
雪男は燐の告白に、雄としての本能を刺激されているようだ。
眠気が覚めるような熱が、燐を饒舌にさせる。

「ふうん、じゃあ」
「くたくたになったところで、メフィストが太股を掴んで。
それから、メフィストのものが一気に俺の中に・・・」

雪男が燐の腰を掴む。
燐の体が跳ねる。雪男は燐の耳元にふう、と囁いた。

「出されたの、僕以外の男に。中に、出された?」
「されたッ。腹壊すんじゃないかってくらい。奥に。すごくたくさん・・・!」

どろどろにされたんだ。と燐は言った。

「誕生日に、僕以外の別の男に犯されて。兄さんは、どんな気分だった?」

はぁ、と熱い息が吐き出される。

「ゆきおに・・・雪男に会いたかったッ」
「うん、僕も」

二人の瞳にはもう、情欲が宿っている。
雪男は気づいているだろう。そんなことを燐はされてなどいないことに。
けれど、この嘘に乗ってきている。燐も既にノリノリだ。
雪男は燐の体を突き飛ばし、ベッドの上に転がした。
すかさず、雪男は燐の体の上に乗り上げる。

「なら、僕が同じことしてもいいよね」

雪男は燐の羽織っていたシャツを乱暴に破った。
燐も雪男のノリに合わせて、いやだと叫ぶ。

そのまま、獣のようにセックスした。

まさに、オールナイトセックスになった。


***


雪男は隣で寝ている兄を横目で見ながら、携帯をいじっていた。
昨日の晩はすごかった。
兄の口から聞いた行為を、そのままその通りに施してやった。
兄は泣いて嫌がっていたけれど、それがまたいい。

最終的には二人とも盛り上がったので、よしとしよう。
嘘だということは二人ともわかった上での行為だ。
仲直りもできた。


「あとは、まぁ。通報するだけだよね」


兄さんに過激な本見せておきながらお咎めなしは教育者としてはないだろう。

性教育では済まされない。
無理矢理、ダメ。絶対。

自分がしていることを棚に上げて、雪男は警察に連絡した。
その日、正十字学園の理事長は教え子に手を出したとしてニュースに載ったという。



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