青祓のネタ庫
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黒猫に道を横切られると不吉の前触れ。
黒猫には、迷信が付きまとうというか。
良いイメージのものもあれば、悪いイメージのものもある。
特に、海外では魔女のお供としてのイメージがあるためか悪評の方が有名である。
そんなこんなで、聖騎士ことアーサー=オーギュスト=エンジェルは
目の前にいる黒猫にどう対応するべきか悩んでいた。
この猫は不吉というべきなのだろうか。
『あ、おまえまえにりんにひどいことしたやつだな!!』
「・・・確か、奥村燐の使い魔か」
クロとアーサーは正十字学園の中庭で対峙していた。
学園内といっても、正十字学園の校内はかなり広い。
それに、学園と正十字騎士団の内部は至る所で繋がっている。
今いる中庭も、どちらかといえば騎士団側の土地に近い。
アーサーは日本支部に定期的に訪れている。
なぜならここには警戒してやまない人類の敵。魔神の落胤こと奥村燐がいるからだ。
今日も今日とてアーサーは燐に嫌がらせをしようと、鍵を使って日本支部にお邪魔してきたのだ。
アーサーが燐にたどり着く前にクロが発見したことは、
過去に門番をやっていた経歴のおかげだろうか。
今の主人である燐に酷いことをされてはたまらない。とクロはアーサーを威嚇した。
アーサーはクロに視線を合わせるようにしゃがみこむ。
クロはびくりとしっぽを震わせた。
アーサーは聖騎士とはいえ、藤本とは考え方が根本的に違う。
悪魔を憎み、悪魔を殺す聖騎士
アーサー=オーギュスト=エンジェル
冷徹な瞳が怖くないと言えば嘘になるが、クロは必死に恐怖を耐えて、アーサーを睨み返した。
『り、りんにひどいことしたらゆるさないんだからな!!』
「・・・」
アーサーはくるりとクロを見回した。
そして、感慨深そうに言った。
「貴様、オスか」
『やー!!えっち!』
「・・・にゃーにゃーとよくわからんことを言う奴だ。発情でもしているのか」
アーサーがクロの言葉がわからずに首をかしげていると、アーサーの腰から声がした。
アーサーの持つ魔剣。カリバーンだ。
カリバーンは、困っているアーサーを助けようとクロの言葉を翻訳してアーサーに伝えた。
「えっちって言っているわアーサー」
「エッチ?なんだ、貴様やはり発情期か。メス猫を探してうろついていたんだろう。
はしたない奴め。色狂いの色情狂のようだな」
「違うわアーサー。アーサーがこの子のお尻を確認したから、そのことについて言っているのよ」
「なんだ、陰部丸出しで歩いている癖に、確認したら怒るのか。意味がわからん」
「アーサー、それは猫に対する冒涜だわ。獣とはそういうものでしょう」
クロは、やはりフーッとアーサーに向けて威嚇した。
カリバーンとアーサーの言っている意味は全てはわからなかったが、なんだか馬鹿にされているようで不愉快だ。
燐のことを傷つけるし、意味のわからないことをいうし。
クロはアーサーが嫌いだと思った。
アーサーはふと考えて、自分の服の裾を握った。
「なんだか怒っているな」
「そりゃあ怒るわよ。猫として」
「・・・では、猫。お詫びとして俺のも見るか?」
「どうしてそうなるのかしらアーサー」
「コイツは自分の陰部を見られて怒っているのだろう?ならば俺も見せれば痛みわけではないのか?」
「意味がわからないわアーサー」
カリバーンの言葉が冷静なことが逆に怖かった。
カリバーンはアーサーと昔から一緒にいるので、アーサーの奇行を一番見てきている。
今更、この純粋培養がなにをしようが、カリバーンは動揺しない。
むしろ、アーサーを止めようとするのがカリバーンだ。
しかし、カリバーンには悲しいかなアーサーを物理的に止める手段がない。
なぜなら手と足がない、剣だからだ。
「とりあえず、今日は暑いから、ズボンも履いてない。だから大丈夫だ」
『ずぼんはいてないのに、なにがだいじょうぶなんだ?』
つまり、アーサーは今コート一枚。つまり下はスカート状態なわけだ。
アーサーはコートの端を掴んで、広げた。
クロの眼前に、カーテンが開いて閉じたような光景が広がった。
クロはきょとんとした顔をしていた。
クロの視線はアーサーを見ていなかった。アーサーの背後。
そこに向けてクロは嬉しそうに走り出す。
丁度アーサーを避けるようにして斜めに駆け寄ってきたため。
背後にいる相手にはクロが横切ったように見えたかもしれない。
クロを追って、アーサーは振り返った。
声が聞こえた。
「クロ、どこ行ってたんだ心配し・・・」
背後に現れた少年。奥村燐とアーサーの視線が絡んだ。
燐の視線はアーサーの顔を見た後。下の方に向かっていった。
おおそこには眼前に広がるコートが。
「ぎゃあああああああ!!変態ーーーーーーーーーー!!」
「な、貴様!奥村燐!!!!」
アーサーは急いでコートの裾を手放したが遅かった。
自分で見せておきながらおかしな話だが。
まるで、スカートめくりをされた女子のような反応だった。
燐は顔を真っ青にして駆け寄ってきたクロを抱きしめた。
見たくないものを見てしまった。
燐は目を固く閉ざしている。
見せるつもりのないものに見せてしまった。
アーサーは覚悟を決めた。
「こうなっては仕方ない」
アーサーは、カリバーンを持って燐に言い放つ。
「貴様のも見せろ!傷みわけだ!!」
「嫌に決まってるだろ馬鹿野郎!!」
その後、聖騎士と魔神の落胤の本気のズボン争奪戦が始まり、
中庭が消滅したことは日本支部の恥ずべき黒歴史となった。
黒猫に道を横切られると不吉の前触れと言う。
ただし、クロには白い毛もあるので単純には黒猫とはいえないかもしれない。
燐にとっての不吉の象徴はむしろ金色毛色のアーサーなのかもしれない。
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