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CAPCOON7

青祓のネタ庫

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メモリアル ダイバー サンプル2

*WEB用に改行しておりますが、本文はつめております*

自分と同じ学園の生徒の幽霊。できることなら、祓わずに済ませたかった。
この幽霊の未練は、想いはなんだろうか。雪男は問いかけた。
幽霊は、少し目を伏せてから口を開いた。

「俺、やり残したことがあるんだ」

幽霊は、ここに残りたい。残って、祓魔塾の授業を一緒に受けたい。と言い出した。
困ったのは雪男だ。
いくら未練があるとはいっても、現在受験や昇級試験に追われる教室に
幽霊を入り込ませるなど、教員としてどうだろう。
雪男の眉間にどんどん皺が寄っているのを見て、幽霊は文句を言った。

「なんだよ、人にやりたいこと聞いておいて。無理ならポイか。せつねぇな」
「よく言うね、本当ならここで無理矢理祓うことだってできるんだよ?」

雪男は幽霊の言葉に少しカチンときて、冗談めかして手のひらで銃を転がした。
以前なら悪魔を見つけた瞬間に引き金を引いた代物だ。
思えば、こうして会話をするだけ雪男にとっては進歩だろう。
しかし幽霊は、当然ともいう風に口にした。

「お前に俺は撃てねーよ」

当然であるかのように言うので、雪男は拍子抜けしてしまった。
先ほどのように動揺するでもなく、雪男なら絶対にそんなことはしないだろう。
という信頼ともいえる眼差しだった。悪魔からそんな目で見られたのは初めてだ。
雪男はどう対応していいのかわからなかった。

「ひとまず、明日塾の皆が来てから相談しよう。
僕だけの教室ってわけじゃないからね。それでいい?」
「おう!ありがとな雪男!」
「ちょ・・・呼び捨て?年下なのに」
「俺お前と同じ年だぞ」
「え、嘘だろ!?」

雪男は思わず、幽霊の顔をまじまじと見てしまった。
月明かりに照らされているが、教室の中が暗闇に包まれていたことがよかったのだろう。
輪郭がぼんやりと映し出されて、幽霊の顔がそこにあることを教えてくれる。
どう見ても、年下だろう。結論はやはりそこだった。

「ま、俺悪魔だから成長スピードが人間と違うんだよな」
「それを早く言ってよ」

雪男が思わず幽霊の肩を叩こうとするが、その手はすり抜けてしまう。
その光景を、幽霊は寂しそうな眼差しで見ていた。雪男はその顔を見て、心が乱れた。
そんな顔をしないでくれ。強く思った。でも、相手は悪魔の幽霊だ。
そんな人の心を動かす手段など心得ているのかもしれない。
雪男は幽霊に視線を合わせられないまま、後ろを向いた。

「ひとまず、今日は帰るよ。それまではここにいていいから」
「おう、じゃあお言葉に甘えるぜ」

雪男はそのまま教室を出ていこうとした、明日のことを考えると憂鬱だ。
雪男がこの状況をどう説明するか悩んでいると、背後から声がかかった。

「俺の名前、なんて名前だと思う?」

幽霊は問いかけるようにつぶやいた。悪魔の誘いや甘言に乗ってはならない。
それは祓魔師になった時に教えてもらう最初の言葉。
雪男はこの幽霊のことを全面的に信頼しているわけではない。
害はなさそうだが、見える一面だけ見ていると痛い目に合うものだ。

「さぁ、思い当たらないな」

雪男はそのまま答えた。この幽霊に会ったことは一度もない。
生きている間ですらなかったのに、名前などわかるわけないだろう。
そんなニュアンスを含めた言葉だった。幽霊は諦めずに雪男に声をかける。

「燐だ」

雪男は振り返って首を傾げる。りん。その音はなぜだか雪男の耳になじむ響き。
幽霊はもう一度雪男に言い聞かせるように言った。

「だから、俺の名前。燐っていうんだ。明日俺のこと紹介するときにいるだろ」
「ああ・・・気がつかなかった」
「薄情な奴」

幽霊の名前は、燐というらしい。ここにいてもいいと言っておきながら、
やはり本心では悪魔としてしか扱っていなかったのだろうか。
そのことを燐に咎められ、雪男は反省した。

「そうだね、悪かったよ」


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